2019年のポルシェの販売台数は前年比10%増の280,800台も、2020年は新型コロナウィルスの影響は必至か!?

■2019年のポルシェはドイツ、ヨーロッパで販売台数が増加

ポルシェAGは、2019年の販売台数、2019会計年度を発表しました。同年度は、販売台数・売上高・営業利益(特別損益前)の新記録を更新。2019年の販売台数は、前年比10%増の280,800台となっています。

売上高は11%増加して285億ユーロ、営業利益(特別損益前)は、3%増の44億ユーロに達しています。営業利益率(特別損益前)は15.4%。同期間に従業員数は、10%増加して35,429人となっています。

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ポルシェ・タイカンとオリバー・ブルーメ氏

ポルシェAG取締役会会長のオリバー・ブルーメ氏は、「ポルシェは、持続可能なモビリティの先駆者として、近年重要な対策を実施してきました。2019年には、多くの感動的な新製品を導入していて、中でも、ポルシェ初のフル電動スポーツカーであるタイカンを発売しました。効率的なガソリン車、高性能プラグインハイブリッド、フル電動スポーツカーで構成される魅力的な製品レンジによって、2019会計年度も再び販売台数が増加しました」と述べています。さらに、「私達の主な目標は、価値を生み出す成長です。過去5年間で業績を60%以上伸ばしました。これによって、経済的、環境保護、および社会的な分野において企業責任を十分に果たすための前提条件が整いました」と続けています。

■今後の新型コロナウィルスの影響は?

ポルシェAG財務およびIT担当の取締役会副会長であるルッツ・メシュケ氏は「2019年は、売上高と営業利益(特別損益前)について新記録を達成しました。営業利益の増加は、特に販売台数の大幅な増加と、他の事業分野および部門の積極的な進展による貢献が大きくなっています。同時に、同社の成長による固定費の増加、電動化とデジタル化への多額の投資、および通貨の影響は、業績にマイナスの影響を与えました。それでも15.4%の営業利益率(特別損益前)と21.2%の投資利益率により戦略的目標を再び上回りました」とコメント。

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2019年の販売台数が好調だったポルシェだが、2020年は新型コロナウィルスの影響は必至か!?

一方で、ディーゼルの問題により、2019年第2四半期の特別損益は5億ユーロに上りました。そのため、2019会計年度のポルシェAGの特別損益後の営業利益は38億6,000万ユーロ、特別損益後の営業利益率は13.5%にとどまっています。

市場ではドイツとヨーロッパで成長を遂げています。特にカイエンとマカンの販売台数が大幅に増加し、カイエンは前年比29%増の92,055台が納車されています。マカンは、前年比16%増の99,944台でした。ドイツ国内市場およびヨーロッパ市場全体ではそれぞれにおいて15%増の目覚ましい成長を示し、ドイツでは31,618台、ヨーロッパ全体では88,975台が納車されました。

ポルシェにとって最も大きな2つの市場でも増加を記録。中国では前年比8%増の86,752台、米国は8%増の61,568台になり、その結果、両市場の全体的に弱体化した経済状況に抗することができたとしています。

タイカンの登場により、雇用も創出するとしています。同EVにより、約2,000人の新規雇用が創出。また、ツッフェンハウゼン主要工場でのフル電動スポーツカーの生産は、カーボンニュートラルになっています。2020年初めから、この工場のエネルギー供給全体をカーボンニュートラルソースに変更。新しい建物はエネルギー効率が良く、電気は再生可能なソースから供給されます。

ポルシェは、残留物や廃棄物から生成されたバイオガスで稼働する自社の熱電併給プラントで熱を生産しています。

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ポルシェ・タイカンにクロスツーリスモが加わる予定

さらに、ポルシェは、2024年までハイブリッド化、電動化、デジタル化に約100億ユーロを投資し、E-モビリティ分野を一貫して強化するとしています。次に発売されるのは、タイカン初の派生モデルとなるタイカンクロスツーリスモ。ミドルサイズSUVの新世代マカンも電化され、ポルシェにとって2番目のフルバッテリー駆動モデルになります。2025年までに、販売台数の半分を電気駆動モデルとプラグインハイブリッドモデルとして販売する予定。

「タイカンについては、2019年9月のワールドプレミアの前に、すでに約30,000件の購入に関する問い合わせがあり、15,000人以上が成約したそう。タイカン、911、718、およびカイエンクーペによって、2020年にも高い需要を生み出すことができると確信しています」とブルーメはコメントしています。

新型コロナウィルスの影響で生産停止など、世界の自動車産業も大きな影響を受けています。

「特にコロナウイルスに関連する不確実性を考慮すると、今後数か月にわたって経済的および政治的に厳しい環境に直面します」とCFOのメシュケは続けています。それでも、「製品レンジの電動化、デジタル化、および工場の拡大とリニューアルに関する非常に高額の投資にもかかわらず、同社は高い収益目標の達成を継続することを目指しています。効率性を高める対策を講じ、収益性の高い新しい事業分野を開発することで、15%の営業利益率という戦略目標の達成を目指します」とメシュケは強調しています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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