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●MaaSは様々な交通機関を網羅する新サービス
MaaS(マース)とは、「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・サービス)」の略。直訳すれば「サービスとしてのモビリティ」となり、様々な移動手段をサービス化することを示します。
よって、対象となるのは一般の乗用車だけでなく、バスや電車などの公共交通機関も含まれ、それらをひとつのサービスとしてとらえて、シームレスに繋げていこうという動きです。
MaaSの定義には、まだ諸説ありますが、分かりやすい例としては、スマートフォンなどの通信端末を活用し、自宅から目的地までのバスやタクシー、鉄道などの一連の交通機関の使用について、座席予約や運行状況の確認などを行うことを可能とするサービスなどが考えられています。
また、バスの場合は、運転手不足などの課題解決のために、自動運転とMaaSを連動させた動きも出てきています。
日本では、トヨタ自動車とソフトバンクが設立した「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」が、積極的にMaaSの事業化を推進中。地方自治体などと連携しつつ、通信を活用したオンデマンドなどの新サービスに関する実証実験を行っています。
ちなみに、トヨタは移動、物流、物販など多目的に活用できる自動運転EV(電気自動車)「e-Palette(イーパレット)」を開発。東京オリンピック/パラリンピックで選手や大会関係者の移動用バスに使うほか、モネ・テクノロジーズが推進するMaaS分野でも様々な用途に活用することを目指しています。
モネ・テクノロジーズには、ホンダ・日野自動車・いすゞ・スズキ・SUBARU・ダイハツ・マツダといった他の自動車メーカーも参画。一方、ルノー・日産連合は、Google系でAlphabet(アルファベット)傘下のWaymo(ウェイモ)と手を組んでいます。つまり、国内自動車メーカーは、MaaSや自動運転分野において、事実上二分化されているのです。
こういった動向は、新しい分野の技術や車両の研究開発には莫大な費用がかかるため。各社がそれぞれ単独で研究開発するよりも、数社が共同で進めることで、1社あたりの開発コストなどを低く抑えるといった狙いがあります。
複数の企業が「アライアンス(同盟)を組む」といった流れも、近年における自動車業界のトレンドといえるでしょう。
(文:平塚直樹/写真:ダイムラーAG、トヨタ自動車、日産自動車、ビー・エム・ダブリュー、平塚直樹)