GRヤリスが速い! 走り出しから1分54秒688を記録【スーパー耐久2020・S耐公式テスト富士】

■レース用パーツを組んだだけなのに実戦タイムを記録したGRヤリス

2月29日に富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久公式テスト。2020年のスーパー耐久年間エントリーの全車とは言わないまでも多くのマシンが参加しての今年初めてのテスト走行で、ROOKIE RACINGのGRヤリスもテスト走行に参加していました。

GRスープラコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様
GRスープラコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様

GRヤリスの参戦予定となるST-2クラスは、ライバルがスバルWRX STIに三菱ランサーEvo Xとマツダ アクセラディーゼル。アクセラを除けばカタログスペックだけを見ても300馬力オーバーという強豪ぞろいのこのクラスで、最新スペックとはいえ272馬力のGRヤリスがどの程度の戦闘力を持つのかが注目されていました。

ダンロップコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様
ダンロップコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様

午前中1回、午後2回、夜間2回の計5回の走行枠の中でROOKIE RACINGのGRヤリスが出したベストタイムは、なんと1分54秒688! ランサーEvo.Xと同等のタイムを叩き出したのです。

GRスープラコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様
GRスープラコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様

レースに出るのだからそれぐらい肉迫していてもおかしくないだろうと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、驚愕すべきポイントはこのGRヤリス、ただレース用のパーツを組み込んだだけというところ。

シェイクダウンテストで走行できることを確認したまま、という状態でこの富士のテストに持ち込まれたのです。写真をご覧いただければわかると思いますが、東京オートサロン2020で発表されたままのボディで追加されたエアロ関連は何もついていないのです。

GRヤリススーパー耐久レース仕様のコクピット
GRヤリススーパー耐久レース仕様のコクピット

室内を見てもレースマシンというよりはテスト車両という雰囲気の配線むき出し状態。電装系のセットやデーターの取りやすさを優先しての配線となっており、このままの室内でレースに出るものではない、とのこと。

つまりレーシングカーとしては作り始めたばかりという状態なのです。

GRヤリススーパー耐久レース仕様のエンジン
GRヤリススーパー耐久レース仕様のエンジン

エンジンルームに至っては緩み止めなどのテーピングのみで全く手のついていない状態です。

GRヤリススーパー耐久レース仕様のブレーキとフロントサスペンション
GRヤリススーパー耐久レース仕様のブレーキとフロントサスペンション

サスペンションはレース仕様にはなっているようですが、車高自体はノーマルと大差ない様子。ブレーキキャリパーとローターは、現状ではどうやら市販車のものがそのままついているようです。

ダンロップコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様
ダンロップコーナーでのGRヤリススーパー耐久レース仕様

そんな市販とほぼ変わらないようなGRヤリスが熟成を重ねたランサーEvo.Xと同等、クラストップのスバルWRX STIからも0.7秒ほどのタイム差しかないということに驚きを感じます。

ナイトセッションのGRヤリススーパー耐久レース仕様
ナイトセッションのGRヤリススーパー耐久レース仕様

夜間のナイトセッションテストも行われたスーパー耐久富士公式テストですが、その中でGRヤリスのフロントブレーキが赤く焼けているのがよくわかります。

これは特に不具合があるわけではなく、市販車のノーマルブレーキでサーキットを全開走行するとたいていのブレーキローターはこれぐらい赤く焼けてきます。

ナイトセッションのGRヤリススーパー耐久レース仕様
ナイトセッションのGRヤリススーパー耐久レース仕様

実際にドライブした河野駿佑選手にお話をうかがうと「今日は4周ほどしか乗っていませんが、いや本当に速いですよ。シェイクダウンテストの次がこの富士での走行なのでほぼ何もしていない状態です。スバルや三菱に比べてストレートは10km/h以上遅いですが、軽くてコンパクトなので速度差以上にコーナーで詰めていけるクルマです」と好印象。

現状は最低地上高が高くてロールが大きいように感じますが?とうかがってみると「乗ってる自分からすればロールの大きさは気になりませんが、そのあたりはどんどん改良してくると思います」

ナイトセッションのGRヤリススーパー耐久レース仕様
ナイトセッションのGRヤリススーパー耐久レース仕様

車高も高いままのこのGRヤリス、開幕戦までどこまで熟成してくるのでしょうか。大きな伸びしろを感じるROOKIE RACINGのGRヤリス参戦で注目されるピレリスーパー耐久シリーズ2020。今からチェックしておきたいカテゴリーのレースです。

(写真・文:松永和浩)

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この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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