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■新型ホンダ・シビックタイプRはマイナーチェンジの枠を超えた!?
●グリル開口面積拡大などで水温上昇をピーク時に10度抑制
すでにホンダのホームページに先行情報サイトが作られ、年初の東京オートサロンにも参考出品されていたシビックタイプRのマイナーチェンジモデルの改良点と、限定車のリミテッドエディションの情報がホンダから発表されました。正式な発売は2020年夏頃(リミテッドエディションは秋頃)で価格も発表されてはいませんが、公開された新型シビックタイプRの詳細をお伝えします。
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2020年夏に発売される予定の新型シビックタイプRは走る・曲がる・止まるといった3要素をさらに極めるために、マイナーチェンジの域を超えた改良が加えられています。
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パワートレインは発売時に320ps/400Nm というハイスペックを達成していたので、今回は大きな改良は加えられていませんが、その動力性能をサーキット走行時でも長時間維持するために冷却効率を大幅に高めています。フロントグリルは形状を変更して開口面積を13%拡大。同時にラジエターフィンのピッチも3.0mmから2.5mmに狭めることで、ピーク時の水温を約10度下げることに成功しています。
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フロントグリルの開口部が大きくなるとフロントのダウンフォースが減少してしまうため、フロントスポイラーの形状を追加し、さらに補強を加えることでフロントのリフトを防止しています。
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●フロントディスクは2ピースのソリッドタイプで軽量化
フロントブレーキはブレンボ製4ポットキャリパーが踏襲されていますが、ディスクを1ピースのドリルドタイプから2ピースのソリッドディスクに変更。これにより約2.5㎏の軽量化を達成し、さらに熱変位によるディスクの倒れを減少して、サーキット走行時のペダルストロークと踏力の変化を防止しています。
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●可変ダンパーの制御向上とブッシュ類の高硬度化を実施
サスペンションも大きな構造変更はないものの、アダプティブ・ダンパー・システムは応答性を高め、より素早く緻密なクルマの姿勢制御が可能となっています。さらにブッシュ類は剛性を高めてダイレクト感を向上。ジョイント部はフリクションを低減することで細かい入力時のストロークを確保して、サスペンションの追従性を高めています。これらの改良により、足回りは熟成の域に達し、オン・ザ・レール感覚のハンドリングを実現しているといいます。
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●アルカンターラ表皮のステアリングで操作性向上
操作系ではステアリング表皮をフィット感が良く、握った時に質感も高いフルアルカンターラ素材に変更しています。通常は本革からアルカンターラに変更するとグリップが細くなりがちですが、新型タイプRでは裏地を2枚重ねることで外径を確保しつつ、グリップ感も向上させています。
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●シフトレバーは丸型からティアドロップ型に変更
シフトレバーもノブの傾きを認識しやすいティアドロップタイプに変更。形状を変えるだけではなく、カウンターウェイトを採用することでシフトフィールも改善しています。
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また、運転支援システムのホンダセンシングも標準装備されるようになり、安全性とクルージング性能もアップしています。
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ボディカラーには新色となるポリッシュド・メタル・メタリックと鮮やかなレーシングブルー・パールを設定しました。
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●さらに23kg軽いリミテッドエディションを追加設定
同時にピュアスポーツ性能を向上させた、200台の限定車、リミテッドエディションも公開されました。
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リミテッドエディションは軽量化が施され、専用セッティングのアダプティブ・ダンパー・システムを採用することでスポーティなハンドリングを、さらに磨き上げているのが特徴です。ボディカラーは初代シビック・タイプRを彷彿とさせるサンライトイエローIIだけの設定となっています。リミテッドエディションについては、別記事で紹介します。
歴代のシビックタイプRもマイナーチェンジを行ったことがありますが、ここまで手の込んだ改良を行ったのは初めてでしょう。タイプRの販売台数は多くはありませんが、これだけコストのかかる改良を加えるあたりに、ホンダがシビックタイプRに掛ける本気度が伝わってきます。
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シビックタイプRは3年前の発売時にも話題を集め、納車1年待ちになってしまうほど人気が高かったので、マイナーチェンジ後のモデルも納車待ちが出るでしょう。価格や正式な発売日などの情報は、随時シビックタイプRの先行情報サイトで公開されていくので、興味がある人は、そちらも要チェックです。
(岡島裕二)
【関連リンク】
新型ホンダ・シビックタイプR公式サイト
https://www.honda.co.jp/CIVICTYPE-R/new/