●993型は安定しているが、964型は数年前よりグンと相場が上昇した
第5世代の996型911が水冷エンジンになったことにより、空冷の911バブルが起こりました。その結果、中古車相場が最初に高騰したのが第4世代の993型911。そして993型911が高値安定するとともに、第3世代の964型911も価格高騰しました。
今回は、空冷エンジンを搭載した993型と964型911の中古車事情を紹介しましょう。
1994年〜1998年まで販売された993型911は、従来モデルと比べると傾斜した丸型のヘッドライトが特徴です。また、リアサスペンションはマルチリンク式を採用し、リアフェンダーがワイドとなり、スタビリティが向上しています。
搭載されるエンジンは3.6L水平対向自然吸気を中心に、カレラ4には3.8L自然吸気エンジン。ターボには3.6Lツインターボを用意。組み合わされるトランスミッションは6速MTと4速ATのティプトロニックでしたが、1995年にティプトロニックSが登場しています。
現在993型911の中古車の流通台数は約70台で、価格帯は約468万〜約1520万円とかつてのバブル時期と比べると落ち着いてきました。グレード構成はカレラ系が多く、ターボ系は非常に少なくなっており、最も多いグレードはカレラティプトロニックSとなっています。
第3世代の964型911は平成元年、1989年〜1993年に販売されました。先代モデルを踏襲した外観デザインを採用していますが、80%以上のパーツを変更したことで高い空力性能を実現しています。また、この964型911ではティプトロニックというAT車を設定、さらに4WD車を設定するなど現在の911の礎ともいえるモデルです。
現在、964型911の中古車は約70台流通しており、価格帯は約460万〜約4890万円と非常に幅広くなっています。その理由は非常に希少価値の高い限定車が流通していることが原因です。993型よりもこういったスペシャルモデルは964型のほうが多くなっています。
グレードではカレラ2のティプトロニックが約30台と最も多く、次いでカレラ2のMT車、そしてターボが続いています。
稀少性から価格が上昇した空冷ポルシェの993型と964型ですが、700万円以下に絞ると993型が約22台、964型が約13台とさすがに年式の新しい993型のほうが選びやすくなっています。
最新型992型911の新車半分の値段で964型〜991型まで5世代の購入できる。かつての憧れを手に入れるのか、それともリーズナブルなモデルを手に入れるのか。こういった考えを巡らすことできることが、ポルシェ911の中古車購入の醍醐味と言えるでしょう。
(萩原文博、写真ポルシェジャパン)