■立体駐車場に対応した優れたパッケージングが魅力の新世代SUV
2019年9月に発表され、10月より販売開始された、新型クロスオーバーSUVの「マツダ・CX-30」。12月末のプレスリリースで受注台数が1万2346台に達し受注が好調なことが発表され、2020年1月16日にはマツダの技術の結晶であるスカイアクティブX搭載車が発売されました。
今回はスカイアクティブX搭載車に備えて、CX-30の2Lガソリン車と1.8Lディーゼルターボ車に試乗することができましたので、インプレションを紹介しましょう。
CX-30はマツダ3に続く次世代商品第2弾として登場したSUVです。「スカイアクティブビークルアーキテクチャ」と呼ばれる新世代車両構造技術をはじめ、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良いところ取りをした新世代ガソリンエンジンの「スカイアクティブX」。そして進化したAWDシステムの「i-ACTIV AWD」、最新のコネクティッドサービスや運転支援システムを採用した意欲作と言えるモデルです。
CX-30のボディサイズは全長4395mm×全幅1795mm×全高1540mmで、都市部に多く存在する立体駐車場に対応しているのが特徴です。CX-3よりも全長は120mm、全幅は30mm拡大していますが、全高は10mm低くなっておりワイド&ローのフォルムとなっています。
CX-3がマツダ2(旧デミオ)ベースとなっているに対して、CX-30はマツダ3がベースとなっているので、CX-3の泣き所だったラゲージスペースの広さは改善されており、CX-3の350L(BOSE未装着車。サブトランク含む)からCX-30は430Lへと大幅に改善されています。
今回試乗したのはディーゼル車がXD プロアクティブ ツーリングセレクション4WDのAT車。そしてガソリン車は20S XD プロアクティブ ツーリングセレクション4WDのMT車です。どちらのクルマにも8万6880円のオプション装備で、360°セーフティパッケージとナビゲーション用SDカード5万3899円が装着されていました。
●重厚感のディーゼル、軽快さのガソリン
まずはディーゼル車から試乗しました。全幅1800mm以下・全高1550mm以下という制約がある自宅の立体駐車場に入庫可能な数少ないSUV(ほかにはスバルXV)なので、興味はつきません。
ディーゼル車は約200km走行し、一般道が約50km、高速道路が約150kmという割合です。最大トルク270Nmを発生する1.8L直4ディーゼルターボはCX-3などにも搭載されていますが、車両重量が1530kgというCX-30はどんなシーンを走行しても不満を感じることはありませんでした。
組み合わされる6速ATも常に「オイシイ回転域」をキープしてくれるので、加速時のもたつきもほとんどありません。ただ、高速走行時にアダプティブクルーズコントロールを使用し先行車に追いついた時、速度を回復させるために再加速する際に若干のタイムラグを感じました。
CX-30 XD プロアクティブ ツーリングセレクション4WDのAT車のWTLCモード燃費は18.4km/Lですが、実燃費は15.4km/L。特に高速道路など時速100kmで走行すると、ディーゼルエンジンとしては回転数が高めとなるので、こういった影響もあると考えられます。トランスミッションの多段化を期待したいです。
一方の20S プロアクティブ ツーリングセレクション4WDのMT車はSUVとは思えない低重心さそしてディーゼル車より70kg軽い車両重量により、非常に軽快な走りが特徴です。
エンジンそのものが軽いため、ハンドルを切ってからのフロントノーズの入りも素早く、SUVを運転していることを忘れてしまうほど楽しむことができました。こちらは約80kmを走行し、そのうち約80%が一般道だったこともあり、燃費はWLTCモードの15.6km/Lに対して、9.4km/Lと楽しんだツケが出てしまいました。
ワインディングなどに行っても楽しめると思いますが、街乗りでも歩車分離式信号の左折時やコーナーを曲がるときの素直なハンドリングや姿勢変化の少なさは安心感に繋がります。
CX-30のディーゼル車は優れた燃費性能のグランドツアラー、ガソリン車は軽快な走りが魅力のスポーティモデルという異なる性格を感じました。ディーゼル車への関心が高かったですが、試乗後はガソリン車のほうの印象に残っています。
ディーゼル車、そしてガソリン車を乗り比べた結果、現時点でガソリン車がベストバイと思いますが、スカイアクティブXを搭載したCX-30はどのような仕上がりとなっているのか。気になります。
(萩原文博)