マークX生産終了の舞台となった元町工場やトヨタ自動車本社のある豊田市に、トヨタの工場はいくつある?

■クルマのまち豊田市には、トヨタ本社と7工場があります

トヨタグループの工場は世界中にありますが、トヨタ単体(完全子会社とグループ企業を除く)でみれば、国内に12の工場を保有しています。
12の工場は、すべて愛知県内にあり、そのうち7工場が豊田市内に、3工場が隣接するみよし市にあります。完成車工場は、田原工場と元町工場、堤工場、高岡工場の4工場です。

●元町工場
愛知県豊田市元町で1959年から操業開始。高級車クラウン、マークX(2019年12月23日で生産終了)、レクサスLC&GS、燃料電池車MIRAIを生産

●高岡工場
愛知県豊田市本田町で1966年から操業開始。初代カローラの生産からスタートし、現在はRAV4、ハリアー、オーリスなどを生産

●堤工場
愛知県豊田市堤町で1970年から操業開始。プリウスを中心に、カムリ、プレミオ、アリオンを生産

●田原工場
愛知県田原市で1979年から操業開始。高級車ブランドのレクサスシリーズやランドクルーザーを生産

ちなみにトヨタ本社の傍には、1938年から稼働しトヨタの生産の歴史が始まった本社工場(昔は拳母工場と呼ばれた)があります。生産に必要なすべての工程を備えた一貫生産工場でしたが、現在は鍛造部品やハイブリッドトランスアクスルなどの部品を生産しています。

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豊田市にあるトヨタの7工場

■トヨタの生産を支えた元町工場の歴史

元町工場は、1959年にアジアで最初の乗用車専門工場としてクラウンの生産を開始しました。続いて、1960年にコロナの生産、1961年にパブリカの生産を開始し、トヨタの黎明期の躍進を支えた主力工場でした。

1968年にはマークⅡ、1977年にはチェイサーの生産を開始。その後1994年に、マークⅡの生産をトヨタ自動車九州へ移管し、RAV4の生産を開始しました。

2002年マークⅡブリッド、2004年マークX、2009年2代目マークX、2014年に燃料電池車MIRAIの生産を開始しました。

■元町工場の特長

元町工場は、トヨタの中で中型モデルの生産担当という位置づけです。

組み立てラインは2本あり、第一ラインは溶接、塗装、組立工場からなる1本のラインで、クラウンとマークX、レクサスの混流生産を行っています。第二ラインは、海外生産支援に活用しています。

高精度、高効率の生産体制を構築し、トヨタの特長である「カンバン方式」や「ドアレス工法」、「デジタルピッキングシステム」など各種の最新システムを実践している主力工場です。

・カンバン方式
誰もが知っているトヨタを代表的する生産方式です。在庫を持たないように必要なものを必要なだけ作る「ジャストインタイム」方式とも呼ばれます。
カンバンとは、いつ、どこで、どれだけ使われたかを記載したカードです。このカードを適時部品工場に届けて、適正に部品を作って無駄を省きます。

・ドアレス工法
塗装工程後に、組付けたドアを一度外して工員が車内に迅速に出入りできるようにして車内組み立ての効率を高めます。

・デジタルピッキングシステム
部品保管場所に設けたデジタル数量表示によって、車種や仕様などに応じて目的の組付け部品を指示して、ピッキング業務を支援するシステムです。

■トヨタ元町工場は、将来EV専用工場になるのか?

トヨタは最近のモーターショーで、C-HRとレクサスUXをベースにしたEVを発表しています。
レクサス初のEV(UX300e)は、2020年に欧米、2021年以降に国内で発売し、これらの生産拠点は元町工場ではないかと報道されています。

元町工場では、工場内でのCO2削減に向けて燃料電池フォークリフトの導入を進め、すでにMIRAIを生産しています。
近い将来トヨタのEV専用工場に切り替わるのかもしれません。

(Mr. ソラン)

この記事の著者

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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