自転車だって飲酒運転はNG! だけど「酒気帯び運転」の罰則ナシってどういうこと?

■飲酒運転は2種類あり。自転車は「酒酔い運転」だとアウト

 「今日は車なんで酒は飲めないんです、そう言って1人だけウーロン茶とかすするのは拷問だ! なので、けっこう遠くても飲み会は自転車で行くことにした。自転車なら思う存分飲める。サイコーだ(笑)」
 そんな方がだいぶおいでなのではないか。

自転車の酒酔い運転
道交法で違反かそうでないかは別として、飲酒後の自転車運転は危険です。ビリケン / PIXTA(ピクスタ)

 自転車だって飲酒運転は危ない。道路交通法ではどうなっているのか、という話をしよう。
 飲酒運転は2種類に分かれる。簡単に言えばこうだ。

【酒気帯び運転】 べつに酔っていなくても呼気1リットル中に0.15ミリグラム以上のアルコールが検出された場合。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。

【酒酔い運転】 呼気中のアルコール量には関係なく、酔って正常な運転ができない状態。罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金。

 自動車やバイクは両方ともアウトだが、自転車は違う。
 自転車は、酒気帯びはセーフ。酒気帯びの罰条が「軽車両は除く」としているので。
 断っておくが、実際の危険性ではなく道路交通法上はセーフってことですよ。
 一方、酒酔いは自転車もアウトだ。 

●自転車の酒酔い運転の取り締まりの大半は埼玉県!

 警察庁の2018年のデータによれば、自転車の酒酔い運転の取り締まりは全国で110件。
 都道府県別で見ると、なんと110件中84件が埼玉県だ。突出どころじゃない、常軌を逸している。なぜ?
 東京の都心で働き、酒を飲み、電車で埼玉県へ帰って駅から自宅まで自転車に乗る人が多いせいか。
 いやそんなことじゃ説明がつかない。千葉県や神奈川県だって同様だろうに、千葉県の取り締まりは5件ぽっち。神奈川県は0件だ。

 東京都は東西に長い。東側の新橋や神田で飲み、西側の八王子市などへ帰る人も多いはず。なのに東京都の取り締まりは3件だ。

 過去の取り締まり件数を見ると、埼玉県は自転車の酒酔いの取り締まりがいつも異様に多い。埼玉県だけが「自転車の酒酔いもびしびし取り締まれ」ということになっているのだろうと推測できる。もしかして、過去に自転車の酒酔いによる重大事故が続発することがあったのかもしれない。

●実際に取り締まられると、罰金はどれくらい?

 酒酔い運転の実際の罰金額は、普通車で初犯で50万円かと思われる。自転車の罰金はいくらなのか。
 自転車の違反は、取り締まりを受けてもほぼすべて不起訴で終わっているようだ。たまに起訴されて罰金刑に処されると、珍しいのでよくニュースになる。
 2015年4月、愛媛県松山市の職員が自転車で酒酔い運転をして転倒、意識を失い、略式の裁判により罰金5万円に処されたと読売新聞が報じた。職員は停職6カ月の停職処分も受けたという。
 2012年9月には秋田県で、50歳代の男性が自転車の酒酔いで罰金10万円に処されたと秋田魁新報が報じた。この男性は泥酔状態で、一時停止中の車に追突したそうだ。「警鐘を鳴らす意味も含め総合的に判断した」という秋田地検のコメントが載っている。

 罰金も痛いけれど、命を失うようになことになったら大変だ。酒は飲んでも呑まれるな!

(今井亮一)

【関連リンク】
今井亮一の交通違反バカ一代!
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