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■ピエール瀧氏がコカインを理由に運転免許停止になっていた理由とは?
ピエール瀧氏がコカインを理由に免許停止処分? コカインと運転免許となんの関係があるの!?
多くの方がそう思ったんじゃないか。以下は12月25日付けの日刊スポーツの記事だ。
ピエール瀧の運転免許停止処分、取り消し請求を棄却
麻薬取締法違反罪で執行猶予付きの有罪判決が確定したミュージシャンで俳優のピエール瀧(52)が、コカイン使用を理由に運転免許停止とした東京都の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、請求を棄却した。
瀧側は「薬物依存症ではないと主治医が証言している」と訴えたが、古田孝夫裁判長は「再び違法薬物を使う危険性が低いとは言えない」と指摘。交通に危険を生じさせる恐れがあるとした警視庁の判断に誤りはなく、運転免許停止処分は適法だと結論付けた。
判決によると、瀧は6月、コカインを摂取したとして懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けた。確定後の8月、警視庁は180日間の運転免許停止処分をした。(共同)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201912250000546.html
最後に「(共同)」とあるのは、共同通信の配信を記事にしたってことだ。25日付けの他の新聞記事はほぼ同じ文面だが、「(共同)」とあったりなかったりする。
さて、コカインでなぜ免許停止になるのか。その謎を解き明かそう。
●免取&免停は点数の累積だけが理由ではない
運転免許の取り消しおよび停止処分は、いわゆる点数の累積によるものと、点数によらないものがある。
点数によらない処分の対象は「認知症であることが判明したとき」とか「アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者であることが判明したとき」とかいろいろある。さらにこういうのがある。
「免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」(道路交通法第103条第1項第8号)
そのおそれがあることを「危険性帯有」という。
危険性帯有による処分は180日を超えない範囲の停止処分とされている(同法施行令第38条第5項第2号ハ)。
何を危険性帯有とするのか、そこは『点数制度の実務』(啓正社)が解説している。各都道府県のWebサイトでも拾うことができる。
ダンプの過積載を下命、容認したとか、暴走行為を指揮したとかいろいろあるなかに、違法薬物の使用に関するものもある。こうだ。
「法定の除外事由なしに麻薬、覚醒剤等の使用等をした者、法定の除外事由なしに、使用等の目的で麻薬、覚醒剤等を所持した者等で、反復して麻薬、覚醒剤等の使用等をするおそれがあるもの 期間:180日」
●反復して使用するおそれのため180日間の免停に!
ピエール瀧氏は「反復して使用等をするおそれがある」とされ、180日間の免許停止処分を執行されたのである。
瀧氏の場合、誘われて1回だけ使用したとかいうのじゃない。かなり長く使用したと刑事裁判で明らかになっている。そこで東京都(の公安委員会。実質は警視庁)は、また使うおそれありと判断、評価したのだろう。
警察の判断、評価を争う裁判は、まず勝てない。世間が警察を信頼している以上に、裁判所は警察を信頼しているのだ。
以上、コカインでなぜ免許停止になるのかという話でした。
(今井亮一)
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