■新型X5は迫力満点のフロントマスクに、広大な前後シート・ラゲッジが印象的
2019年2月末から日本でも発売されたBMW X5。全長4935×全幅2005×全高1770mmというスリーサイズは、日本の狭い道路事情ではやや持て余し気味ともいえる巨体で、ホイールベース2975mmと3mに迫るロングホイールベースになっています。
4代目となった新型は、先代から全長が25mm長くなり、全幅は65mmもワイドに、全高は10mm高くなっています。ホイールベースも40mm延長。キドニーグリルを中心とした威風堂々たるフロントマスクは、ポルシェ・カイエンやレンジローバー・スポーツなどと比べても見劣りすることはなく、そのボリューム感は周囲を圧倒する雰囲気に満ちています。
まず、日本市場に導入されたのは「X5 xDrive35d」で試乗車は「M Sport」。前後エプロンやサイドスカートなどからなる「M エアロダイナミクス・パッケージ」に加えて「ハイグロスシャドーライン・ルーフレール」などの専用エクステリアにより、スポーティで上質なムードも漂います。
巨体化された恩恵は、広くて大きな前後シート、広大なラゲッジからも明らかで、とくに後席のフットスペースは余裕綽々。弟分のX3と比べると2クラス分くらいの広さ感があります。一方で最小回転半径は、5.9mと大きめです。さらに、フロントノーズの長さも感じさせますから、狭い場所での取り回し、さらに乗降時も気を使うのは大型化によるデメリット。
■「かったるさ」とは無縁な迫力ある走り
大きくなった現行X5ですが、走りに重さはあまり感じさせません。ボディ剛性の強化や装備の充実化を果たしながら先代からの軽量化(約15.5kg)による恩恵が大きく、見た目とは裏腹に高速道路やワインディングロードでも意外に軽快な走りも披露してくれます。
とはいえ、2.2tを超える重量級ボディですから、迫力の加速感を与えてくれるのは、3.0L直列6気筒ディーゼルエンジンの265PSの最高出力、そして分厚いトルク感に満ちた620Nmに達する最大トルク。アクセルを操作する右足の動きにスムーズかつ即反応する湧き出るようなトルク、さらに高速域でも法定速度内であればMディーゼルエンジンとは思えないスムーズな吹け上がりにも魅了されます。
さらに、8速ATのスムーズかつダイレクト感のあるシフトフィールも極上で、大きさや重さをあまり感じさせない走りに貢献していそう。
21インチタイヤを履く試乗車は、重厚感のある乗り心地ながらも乗り味は上々。低速域では、ディーゼルエンジンらしい音はわずかに伝わってきますが、遮音、吸音対策の入念ぶりに加えて、エンジンルームや路面から着座位置が高いこともあってか、静粛性の高さも印象的です。
なお、試乗車の安全装備では、ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能が用意されていて、高速道路の渋滞中に試すことができましたが、3眼カメラによる検知の正確性が印象的。車内でドライバーを監視するカメラにより、居眠りや目を離すことはできませんが、渋滞時のドライバーサポートとして十分に実用になるのが確認できました。
(文/写真 塚田勝弘)