●コンパクトモデルとは思えないほどの快適さを持つA1
アウディの最小モデルであるA1が登場したのは2010年のことです。初代は当時のフォルクスワーゲン・ポロとプラットフォームを共有して作られました。今回試乗した新型は2019年にデビューした2代目にあたり、やはり現行のVWポロとプラットフォームを共有しています。
全幅は先代と変わりませんが、全長は55mm、ホイールベースは95mmも延長しています。先代もアウディA1は比較的しっとりした乗り心地を確保していたモデルですが、このホイールベース延長によってその味付けはさらに強調された印象です。
コンパクトモデルとは思えないほどの快適さを持っているのがアウディA1の魅力と言えるでしょう。プラットフォームを共有するポロが軽快な走りをウリにするのに対し、プレミアムブランドであるアウディが快適さを追求したのは当然のことだと言えます。
エンジンは1.5リットルの直列4気筒ターボで、最高出力は150馬力、最大トルクは250Nmを発生します。ミッションは7速のツインクラッチ方式でアウディではSトロニックと呼んでいるタイプです。発進からダイレクト感のある加速、そしてシームレスなシフトチェンジは先代どおりです。
比較的ゆったり目のシャシーセッティングとの組み合わせによって得られるのは、まさにプレミアム方向だと言えます。アウディの方向性としては正しい方向なのだと思います。ただ、A1クラスのボディが大きくなるのはどうなのでしょう?
ある時期、欧州車はフルモデルチェンジのたびに大きくなる傾向が続いていました。フォルクスワーゲンはゴルフが大きくなってポロが出て、ポロが大きくなってルポが出て…ということが起きました。
そうした現象も一段落かなと思っていたのですが、新型A1はサイズアップをしてきました。もっともコンパクトなモデルを大きくしてしまうと次がどうなるか心配です。しかもアウディはアルファベット+数字で車名としてるので、そのうちA0登場するの?と思ってしまいます。今回登場したのはスポーツバックと呼ばれる5ドアハッチバックなので、先代のように3ドアが出て、そちらはコンパクトにまとめてあれば、ちょっと安心できます。
(文/写真・諸星陽一)