■街中・首都高速でも分かるディーゼルの分厚いトルク感
マツダの「SKYACTIV」エンジンで大きな魅力といえば、秀逸なクリーンディーゼルエンジンを揃えていること。新型クロスオーバーSUVのMAZDA CX-30も例外ではありません。
1.8Lクリーンディーゼルエンジンは、116PS/4000rpm・270Nm/1600-2600rpmというスペックで、270Nmの最大トルクはCX-5やCX-8が積む2.5Lガソリンの252Nm(NA)を凌ぎます。パーシャル域からの分厚いトルク感は、ガソリン仕様にはない力感が美点です。
試乗車は6ATで、変速フィールにはほとんど不満はないものの、他メーカーが8ATなどより多段化している現状を考えると、現在のベストATとはいえないのが少し残念でしょうか。
短時間ではありましたが首都高速でも同仕様を走らせると、湧き出るようなトルク感により追い越しのしやすさ、高めの速度域でも容易に流れをリードできます。キックダウンさせてさらに加速させると、少しの間を感じさせますが、常識的な範囲なら不足はなし。
ほかにも18.4km/L(4WD)・19.2km/L(2WD)というWLTCモード燃費(2.0Lガソリン仕様は14.8km/L〜16.2km/L)という低燃費、軽油ですむというメリットなどがあり、減税対象などの利点もあります。
一方でガソリン仕様との差額は30〜32万円程度ありますから、年間走行距離が短いのであれば、より静かで爽快な走りが楽しめるガソリン仕様を選ぶ方が無難です。なお、ガソリン仕様とディーゼルエンジン仕様を乗り比べると、ディーゼルエンジン仕様特有のノック音(もちろん各種対策がされていて慣れる範囲内ですが)は確かに伝わってきます。
また、ガソリン仕様よりもディーゼルエンジン仕様の方が60kgくらい重く、コーナーワークなどのフットワークでもガソリン仕様よりも若干ですが、重く感じられます。街中中心でキビキビと走らせるのであればガソリン仕様の方が無難でしょう。
一方で、冒頭で紹介したように、ディーゼルエンジン仕様の力強さは間違いのない長所であり、荷物を満載してキャンプや各種アクティビティ、スポーツを楽しむ相棒としてはディーゼルエンジンの方が向いていそう。使い方、走行距離を考えて選ぶのが妥当といえます。
(文/塚田勝弘・写真/長野達郎)