今年の「殿堂入り」はどのクルマ? JAHFA 日本自動車殿堂 殿堂者(殿堂入り)・歴史遺産車・イヤー賞が決定

●ことしの自動車産業界に貢献したレジェンドマン&マシンが栄えある受賞

カーオブザイヤー
2018年度の表彰式の様子。

「電動」ばかりがもてはやされる昨今ですが「殿堂」にも注目です。「優れた自動車の産業・学術・文化などに情熱を傾けた人々と、その偉業を永く後世に伝承していく」という思想のもと、2001年より活動を続けているのが「日本自動車殿堂」です。

その英名の頭文字をとって「JAHFA」(ジャファ)と呼ばれている特定非営利活動法人です。

今年も、「殿堂者(殿堂入り)」「歴史遺産車」「日本自動車殿堂カーオブザイヤー」の3カテゴリーが発表される季節がやってきました。各種カーオブザイヤーに先駆け、11月8日に2019年度の各賞が決定しました。

殿堂者については、これまで70数名が選ばれています。日本の自動車産業は、これほどまでに偉人を輩出しているんですね。

選考にあたっては「日本独自の自動車技術開発に尽力された方」「日本の自動車および自動車産業の基盤を開拓された方」「日本の自動車工学・学術に貢献された方」「日本の自動車社会の発展に貢献された方」という基準のもと、選ばれています。

2019年に殿堂入りされたのは、以下の3名に決定しました。

■2019日本自動車殿堂 殿堂者(殿堂入り) 3名

●小杉二郎さん(元マツダのカーデザイナー)

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「工業デザイン」の礎を築いた小杉氏(1981年没)。

1915年生まれの小杉さんは、1948年より東洋工業(現マツダ)のオート三輪のデザインを担当したのを皮切りに、社外プロダクトデザイナーとしてトラック、そしてあのR360クーペも手がけた御方です。自動車のみならず、ミシンや家電などのプロダクトにも関わりました。

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三輪トラックはマツダ復興の象徴。
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リアルに「ALWAYS 三丁目の夕日」の時代。
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「未来のコンセプトカー」MK-600もデザイン。

●染谷常雄さん(東京大学名誉教授)

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50年代からコンピュータを使った解析に取り組んだ。

1931年生まれの染谷さんは東京大学工学部を卒業後ドイツに留学、アウトバーンを体験することで自動車の魅力に目覚めました。ダイムラーベンツのエンジニアから薫陶を受けエンジンの滑り軸受けの開発に没頭し、国際標準化を成し遂げました。エンジンの基礎研究では窒素酸化物の低減にも取り組み成果を残しました。

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日本の燃焼技術も世界へアピールした。

●大槻幸雄さん(川崎重工業元常務取締役)

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ゼロ戦の開発プロセスも取り入れた。

カワサキブランドの大型車の開発において「世界一の馬力とパフォーマンス」目標に、マッハシリーズを手がけた大槻さんは1930年生まれ。北米市場での躍進に貢献し、先行していた3社の寡占に風穴を開けました。

技術者の数ではホンダ1000名、ヤマハ300~500名といわれているなか、50名から100名の少数精鋭の組織でも伍する体制も作りました。

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Z1、Z2を大ヒットさせたのちは、ガスタービン研究にも取り組んだ。

■日本自動車殿堂 歴史遺産車 4車

●(1)三菱A型(三菱甲型)

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1918年、日本で最初の量販車といわれている三菱A型。

●(2)いすゞエルフ

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60年にわたり小型トラックのトップブランドであるエルフ。

●(3)ヤマハ スポーツSR400

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40年の永き歴史を紡ぐSR400。カスタム業界にも多大なる貢献をしました。

●(4)マツダ ユーノスロードスター

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累計生産100万台の、ライトウェイトオープンカーのエバーグリーン。

■2019~2020 日本自動車殿堂カーオブザイヤー(国産乗用車)

●「トヨタ・カローラ/ツーリング」および開発グループ

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最大1400点のうち900点を集め受賞。
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4賞の選考にはのべ50名の選考委員が携わる。

4賞あるイヤー賞のうち、もっとも優れた乗用車に与えられるカーオブザイヤーはカローラと同ツーリングが選ばれました。ちなみに次点は69点差でマツダ3でした。

■2019~2020 日本自動車殿堂インポートカーオブザイヤー(輸入乗用車)

●「メルセデス・ベンツAクラスセダン」およびインポーター

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最大1400点のうち1016点と、次点のBMW7シリーズ(767点)を抑えての受賞。

先進のインフォテイメントを備えるシンプルなフォーマルセダンとしての魅力が受賞理由。インポーターの栄誉が讃えられました。

■2019~2020 日本自動車殿堂カーデザインオブザイヤー(国産・輸入乗用車)

●「BMW Z4」およびデザイングループ

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最大1100点中、687点を集票。次点はベンツEQC(611点)、3位はマツダ6の568点。

会員にカーデザイナーを多く擁する日本自動車殿堂では、デザイン賞も設けられています。低重心シルエットに調和するデザインが受賞理由です。

■2019~2020 日本自動車殿堂カーテクノロジーオブザイヤー(国産乗用車)

●「日産スカイライン プロパイロット2.0」および開発グループ

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プロパイロット2.0は883点を集めた。
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2019年を代表する技術として表彰された。

ナビ連動の高速道路運転支援システム「プロパイロット2.0」の、先進のインターフェースに賞が贈られました。

(畑澤清志)