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■ETC利用率もクルマは8割に対して2輪(軽2輪以上)は3割未満
●自工会とオートバイ組合が与党・公明党に改善訴える!
10月23日、東京モーターショー・プレスデイの夜、永田町の国会議員会館で、オートバイ関係団体が与党・公明党に二輪車交通環境の改善を訴えた。党副代表でありオートバイ議員懇話会会長の北側一雄代議士が「年末にかけて予算編成、税制改正の議論の時期がきた。要請をしっかり受け賜り、取り組みをさせていただく」と応じたその内容とはー。
●二輪駐車場は保有台数のわずか1.4%!「最大の課題は駐車できないこと」
バイク販売店の全国組織「全国オートバイ協同組合連合会」(大村直幸会長)は、二輪車販売台数が減少した最大の要因は、バイク駐車場が整備されないまま監視員による駐車取締り強化が実施されたことであると、石井大専務が強調した。
「販売台数は、2007年の取締り強化と翌年のリーマンショックの2つの要因で下がったようにも見えるが、排気量50cc以下の原付バイクだけでみると実は違う。リーマンショック前に約35%も減少している。取締りにどれだけインパクトがあったのか。今一度ご認識をいただき、今後の議論にしていただきたい」
四輪車の駐車場は、50年以上前の駐車場法施行をきっかけに整備が始まっている。二輪車の駐車場は道路交通法改正で違法駐車の取締りが民間委託されてから始まった。ライダーのモラルが高いだけでは解決しないのだ。石井氏は今も駐車場が整備されていない状況を、東京都内を例に具体的な数字を挙げて示した。
都内の二輪車の保有台数約100万台。それに対して駐車場は687か所、収容台数約1万4000台。たった1.4%しか用意されていない。それに対して四輪車は、保有台数約310万台に対して、駐車場は2万2186か所、約34万台が収容でき、11%の用意がある。
「東京都も担当部署を作って取り組んでいただいているが、四輪車と平等な駐車環境が作られるめどはまったく立たない。私は60歳になるが、私が免許返納するまでにこの状況は好転しないだろう。平等な駐車環境が手に入れることができない。バイクだけが置ければいいということは主張しないが、生活実態を考慮して駐車規制の緩和をお願いしたい」(前述・石井氏)と、訴えた。
●ツーリングプランの利用者減少「全国規模で、限定しない割引プラン実施を」
日本自動車工業会は中村隆二輪車企画部会委員が、主に高速道路の利用環境について話した。四輪車と二輪車のETC同時スタートではない。料金所に設置された開閉バーの安全性や車載器の開発ができず、二輪車サービスを提供できなかったことが、いまだに影を落としている。
「料金所でのETC利用率は未だ8割を超えず、高速道路走行可能な軽二輪以上の保有台数360万台に対するETC搭載率は3割を切り、トラックを含む自動車のETC装着率約8割にくらべ、まだまだ低い状況」
車載器が四輪車と比較して割高なことや、2.0車載器になっても、一世代前のETC車載器と変わらない機能でありながら値上がりしている状況は、ライダーの車載器の搭載率が上がらない大きな要因だ。
これに対して高速道路各社は、2014年から車載器購入助成を開始し、18~19年にかけては3万5000台の助成予定台数を大幅に増やして対応するなどし、助成対象は累計で18万台に達した。それでも搭載率は低い。
そのため車載器搭載車両を対象としたツーリングプランでテコ入れを図るが、これも3年目で息切れが見えた。2019年は北海道と四国を加えてエリアを拡大した。しかし、8月末時点の申込実績は前年同期比で8割、特に首都圏では同7割と低調だった。国土交通省高速道路課は「雨季が長かったことも影響しているが、まだ実施中。終了してみないとわからない」と言う。
ただ、自工会では「首都圏の利用者のツーリング計画が、準備したツーリングプランにマッチせず、割高感を感じてしまったため」(中村氏)と、天候以外の要因も指摘する。だが、ユーザーはETCを利用するために車検情報を登録しているが、高速道路会社は料金区分でしか通行実態は把握していないので、軽自動車等に区分される二輪車の動向は、もともとつかめない。そこで自工会はこんな対策を提案した。
「割高感の払しょくや多様なニーズに応えるためも、全国規模で、期間・日数・エリアを限定しない、二輪車ユーザーがもっと利用しやすい割引プランを早期に実施していただき、全体申込件数の拡大をお願いしたい」(前同)
さらに、ツーリングプランとは別に高速道路料金区分の独立化と適正化のために、二輪車の高速利用状況を把握し、国土交通省が懸念する設備投資と料金収入のアンバランスの有無を具体的に議論するべきと訴えた。
(中島みなみ)