●ステップ制御のHV用無段変速機がいい仕事してます
レクサスLCはルーツをたどるとレクサス初代SC、日本で言うところの3代目ソアラにたどり着くモデル。FR方式の2ドアクーペという、今や希少な形態を持つクルマです。
今回チェックしたのはハイブリッドモデルのLC500hと同・特別仕様車になります。
全長は4770mm、全幅は1920mm、全高は1345mmという数値になっています。ぱっと見の印象よりも実際の全高はわりとあり、1.3mオーバーなのが意外です。
このように見えるのにはキャビンをCピラーの辺りで極端に絞った独特のフォルムが効いていると思います。
この数値のおかげで、車内に乗り込んでも広々とした快適な空間が広がっています。
ただし、Cピラー形状の影響をもろに受けるリヤシートに関しては、見た目の印象をがっつり反映しています。身長173cmの記者が座ってみようとしましたが、頭がつかえてしまうほどタイトでした。
このため後席は小柄な方かお子さん、もしくは荷物を置くためと割り切ったほうがいいのかもしれません。
インパネは今やレクサスの代名詞的ともいえる、意図的に左右非対称にした形が魅力的です。特に助手席とセンターコンソールを分ける仕切り板形状の部分などは見どころです。
メーターバイザーの上部左側には走行モードセレクトのダイヤルが備わり、右側にはスタビリティコントロールの操作系が設置され、あたかも動物の角のような形状になっています。これは現在のレクサスでは主流となったルックスですね。
エンジンは299ps/6600rpm&36.3kgm/5100rpmというスペック。モーターは180ps&30.6Kgmという出力を持っています。
これにマルチステージハイブリッドトランスミッションと呼ばれる電気式無段変速機を組み合わせます。ただしこれ、無段変速機ですが10段に区切ったステップ制御がなされます。
力強い加速をしたいときにアクセルを踏み込んだときは、自動でキックダウン的動作をして強い加速を与えてくれます。この加速の仕方は人間にとって心地のよいものであることが実際に乗ってみてわかりました。
ボディサイズはたっぷりとしており車重も軽いとは言えない(2000kg~2020kg)レクサスLC 500hですが、コーナーでのハンドリングはなかなかのものです。その理由はフロントのダブルウィッシュボーンとリヤのマルチリンクサスが絶妙でいい仕事をしているからでしょう。
しかし前提として、前後の重量配分がほぼイーブンの50対50に近いから、というところが与えている影響は大きそうです。これはエンジンをフロントミッドシップに搭載することでなし得ています。ロングノーズは伊達ではないのでした。
また乗り心地は標準モードやコンフォートモードを選択している時には、柔らかすぎず硬すぎずのちょうどいい塩梅です。一方でスポーツモード以上を選択すると明確に引き締まった感触になります。
ただし、どのモードを選択していても、硬いランフラットタイヤを履いているとは思えないしなやかさが根っこにあり、不快な衝撃は伝わってきません。また最小回転半径は5.3m~5.4mと小さく、車両サイズとは裏腹に実際の取り回しは良好でした。
このように、非常に尖った見た目ながら運転席まわりが広く、スポーティに走らせることができながら乗り心地は良い……といった、一件相反しそうな要素を両立しているのがLCのいいところなのでした。
(写真・動画・文/ウナ丼)