●バブル前夜、クラスを超えた世界のハイクォリティ車として登場した6代目
2019年9月17日、通算12代目となる新型トヨタカローラが登場したのを記念して、50年以上に渡ってマイカーとして人気を誇っているカローラの歴史を振り返るこの企画。今回は1987年に登場した6代目カローラです。
バブル景気が始まった1987年は国鉄が分割・民営化されJR7社が発足そして、株式を上場したNTTがアナログ方式の携帯電話サービスが始まるなど日本の景気が上昇ムードとなっていました。その1987年に6代目カローラは登場しました。
1969年〜1986年まで国内全乗用車車名別ベストセラーカーに18年連続で輝き、国産車初の生産累計1000万台を達成など数々の記録を打ち立てて、日本のモータリゼーションを牽引したカローラ。1987年当時130カ国に輸出され「世界のカローラ」として多くのユーザーに支持されています。
6代目カローラはユーザーの生活様式が多様化し、価値観が大きく変化していくなかで、動力性能をはじめ、内外装部品の質感まで従来このクラスに求められたレベルをはるかに超えた新しい車格を創造するクルマ。「クラスを超えた世界のハイクォリティ車」として開発されました。
ボディバリエーションでは日本国内ではリフトバックと呼ばれる5ドア車を廃止し、4ドアセダン、2ドアクーペのカローラレビンに加えて、新感覚のファッショナブルな最上級2BOX車FX(3/5ドア)車を設定。さらに、先代ではフルモデルチェンジされなかったバンとワゴンは6代目をベースとした新モデルとして3カ月遅れで登場させています。
搭載するエンジンは1.6L直4スーパーチャージャーエンジンをはじめ、1.6L直4、ハイメカツインカムと呼ばれる新機構を搭載した1.5L直4、ベーシックな1.5L直4、1.3L直4、1.8Lディーゼルと6種類となっています。
サスペンションは先代から採用した四輪独立懸架のストラット式を踏襲していますが、各部品の構造や特性を見直し、構成部品のほとんどが新規制作となっています。さらに、ボディ剛性の向上、サスペンション取り付け部の剛性を大幅に向上させたサブフレーム方式の採用により、一体感を感じられるハンドリングと快適な乗り心地を両立しています。
駆動方式はセダンだけでなく、クーペのモデルも全モデルFF方式を採用。さらに1989年にはカローラ初の4WD車をセダンに設定。これは4WDが趣味性の高いものではなく、特に降雪地での実用性が認められたことを意味している。このカローラへの採用をきっかけに、4WD車を設定する車種は増えていきます。
6代目カローラの1987年5月当時の車両価格は4ドアセダンが88万3000円〜153万2000円、FXは88万2000円〜149万1000円、カローラレビンは114万5000円〜183万3000円でした。
(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車)