●厳しい規制に立ち向かい、車名別の生産台数が世界一を達成した3代目カローラ
2019年9月17日、通算12代目となる新型トヨタカローラが登場したのを記念して、50年以上に渡ってマイカーとして人気を誇っているカローラの歴史を振り返るこの企画。今回は1974年に登場した3代目カローラです。
1973年10月に勃発した中東戦争によって引き起こされた第一次オイルショックによって、高度経済成長の終焉迎えた日本。その景気が低迷している1974年4月に30(サンマル)シリーズと呼ばれる3代目カローラが登場します。ただ、20シリーズと呼ばれる先代モデルの一部が併売されました。これは今回の新型カローラと先代となるカローアクシオが併売されているパターンに似ています。
3代目カローラはセダン、ハードトップ、バンという2つのボディバリエーションで構成され、開発にあたっては、昭和50年排出ガス規制対策への準備と大衆車としての経済性を維持しながら、上級車並の安全性と快適性を確保することを目指しました。
ボディサイズは先代に比べて、ホイールベースを35mm、前後トレッドを40mm拡大しています。このボディサイズの拡大は排出ガス規制や衝突安全対応に必要なスペースを確保するためのものでした。ボディタイプはデビュー当初2/4ドアセダン、2ドアハードトップ、2/4ドアバンという設定でしたが、1976年には3ドアリフトバック、2ドアファストバックを追加し、合計5種類となりました。また排気量によってフロントマスクのデザインが異なっているのも特徴です。
搭載されているエンジンは先代モデルを引き継ぎ1.2L、1.4L、1.6L直4OHVでトランスミッションはATが従来の2速のみから3速ATが設定されたのが特徴です。サスペンションのフロントは従来と同じストラット式ですが、リアは非対称半楕円ルーフスプリング方式を採用しています。
1974年デビュー当時の車両価格はカローラセダンが58万1000円〜82万4000円。ハードトップは69万9000円〜88万2000円。バンは54万8000円〜63万9000円(東京)でした。そして、この3代目カローラで車名別の生産台数が世界一となりました。
(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車)