ロータスのハイパースポーツEV「Evija」は、市販車として世界最強の最高出力2,000psを掲げる【新車】

●「Lotus Evija」は世界限定130台。生産開始は2020年

ロータスカーズの日本正規販売輸入総代理店であるエルシーアイは、2019年9月8日に富士スピードウェイで開催された「Japan Lotus Day 2019」において、英国車初のフル電動ハイパーカーの「Lotus Evija(ロータス・エヴァイヤ)」を日本初披露しました。

ロータス・エヴァイヤ
ロータス・エヴァイヤのフロントビュー

今年で9回目を迎えた「ジャパン・ロータス・デー」は、年に1度、全国各地からロータスオーナー/ファンが終結する一大イベント。世界中のロータスファンが注目するイベントでもあるそう。

2019年7月16日にロンドンでワールドプレミアされた「Lotus Evija(ロータス エヴァイヤ)」は、8月15日に米国で開催された「モントレー・カー・ウィーク」を皮切りにワールドツアーを開始。日本では今回が日本初披露。

ロータス・エヴァイヤ
ロータス・エヴァイヤのフロントマスク

フル電動ハイパーカーである同モデルは、「Type 130」というタイプナンバーにちなんで 130台を限定生産され、2020年の間に生産を開始するそう。価格は180万〜200万ポンド(税別、英国ロータス工場渡し価格、別途輸送・登録諸費用などが必要)が予定されています。手付金 25 万ポンド(返金可能)で生産枠が確保されます。予約はロータスカーズのホームページで開始されています。

エヴァイヤには、ロータスのロードカーとしては初になるワンピースのカーボンファイバー製モノコックシャーシを採用。キャビンは、自由に調節可能なレーススタイルのシートから多機能のステアリングホイールに至るまで、モータースポーツ仕込みのロードカーならではのデザインと技術の粋が集約。

ロータス・エヴァイヤ
ロータス・エヴァイヤのリヤビュー

搭載されるのは、最先端のフル電動パワートレインで、ロータスが技術提携を結ぶWilliams Advanced Engineeringは、F1をはじめ、フォーミュラEの開催初年度からの4シーズンなど、モータースポーツにおける輝かしい実績で名をはせています。

ミッドマウントのバッテリーパックは、 2シーターの座席のすぐ後ろに収められ、4つの強力な電動モーターに電力を直接供給。同システムは効率性が極めて高く、これまでにロードカーに搭載されたなかで最も軽量なだけでなく、最もエネルギー密度の高い電力パッケージになっています。

目標車両重量わずか1,680kgのエヴァイヤは、ロータスらしく軽量に仕上がっているのも特徴です。走行モードは、レンジ/シティ/ツアー/スポーツ/トラックの5段階に切り替え可能で、0-62mph(0-100km/h)加速は3秒以下、最高速度は200mph(320km/h)以上に達します。

そのパフォーマンスは、驚愕といえる目標値が設定されています。目標最高出力 2,000ps、目標最大トルク1,700Nm(173.3kgm)のエヴァイヤは、世界で最もパワフルなロードカー。並外れた出力のカギを握るのが、2,000kWのリチウムイオンバッテリーです。

マネジメントシステムを備えた同バッテリーは、Williams Advanced Engineering(WAE)が供給します。バッテリーパックはパッセンジャー コンパートメントの背後、中央の位置に収められ、バッテリーカバーがリアガラス越しに見える状態になっています。

この配置には、スタイリング、エアロダイナミクス、パッケージング、重量配分、快適性、ダイナミックなハンドリングといった点で大きなメリットがあります。サービスやメンテナンスもスピーディに行えて便利なうえ、将来的にレースパフォーマンスの最適化などで、バッテリーパックを交換する際にも、容易に取り付け可能な設計になっているそう。

バッテリーパックから供給された電力は、出力密度の高い 2 基の電気モーターが搭載されている特別設計の車軸へ 送られます。このユニットからつながる SiC(炭化ケイ素)インバーターと遊星⻭車機構のトランスミッションが、4WD パワートレインの各車軸に搭載されています。モーターとインバーターは、Integral Powertrain Ltd から供給されています。

また、Williams Advanced Engineering との提携によって、バッテリーは800kWまで充電できるようになっています。これだけの電力を供給可能な充電ユニットは、現時点でまだ製品化されていませんが、製品化されればわずか9分でバッテリーをフルに充電できるようになるそう。

エクステリアは、自慢のカーボンファイバーがボディを覆い、メカニカルなコンポーネントを包み込んでいます。低く構えたフロントが特徴で、最低地上高はわずか105mm。リヤはどっしりとした安定感のあるスタイリングで、その中間にはティアドロップ型のキャビンが低めの位置に収められています。さらに、航空機に着想した外観は、なめらかな流線型のフォルムとメリハリの利いたシャープなラインが絶妙なバランスでブレンドされています。

ロータス・エヴァイヤ
ロータス・エヴァイヤのサイドビュー

また、空力システムで重要な機能で、目を惹くのがバイプレーン(複葉)のフロントスプリッター。3 つに別れたデザインで、中央の広い部分を通る空気が2シーターの座席後方にあるミッドマウントのバッテリーパックを冷却。両サイドの狭いセクションを通る空気は、フロントのeアクスルを冷却します。フロント中央の四角いセクションと2つのサイドウイングは、F1マシンの「Type72」へのオマージュだそう。

ロータス・エヴァイヤ
ロータス・エヴァイヤのインパネ

一方のインテリアは、レースカーエンジニアリングにインスパイアされたキャビンが特徴で、個性を放つのは、外からフロントガラス越しに見える「フローティング・ウイング」型のダッシュボード。エクステリアのポロシティ(多孔性)を室内にも反映したものとしています。

ロータス・エヴァイヤ
ロータス・エヴァイヤのフローティング構造のセンターパネル

さらに、ステアリングホイールは、「LMP(ル・マン プロトタイプ)」やF1マシンと同じようなデザインで、スポーツ指向のエヴァイヤらしさをさらに際立たせています。楕円の部分はアルカンタラ張りが標準で、オプションで革張りにすることも可能。スイッチ類は、直観的に操作できるようにまとめられており、電話、クルーズコントロール、DRS(ドラッグリダクションシステ ム)などの機能を制御できるそう。

エヴァイヤのサイズは、全長4459×全幅2000×全高1122mmで、先述したように180万〜200万ポンド(税別、英国ロータス工場渡し価格、別途輸送・登録諸費用などが必要) 。日本円ので価格は少なくても約2億3770万円となりそうです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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