■第17回学生フォーミュラ日本大会2019は#7 NIT Formula Project名古屋工業大学が優勝
今回で17回目を迎える学生フォーミュラの大会が、静岡県袋井市と掛川市にかかる小笠山総合運動公園(通称:エコパ)で、2019年8月27日(火)~31日(土)に開催された。
前回までの「全日本学生フォーミュラ大会」から、グローバルに認知されるためにということで今回から「学生フォーミュラ日本大会」と名称を変更したが、過去16回の大会同様、多くの学生による自動車づくりの熱い戦いが今回も繰り広げられた。
学生フォーミュラは、学生自身が構想・設計・製作を行った小型フォーミュラマシンを使ってその競技をするモノづくりのコンテスト。世界各国でほぼ同一のルールで開催されており、日本のこの大会は世界8か国10大会で展開されているFormulaSAEワールドシリーズの1戦として行われており、海外からこの大会に参戦するチームも増加している。
今回は国内外から120チームのエントリーがあった(98台で足切り)が、この会場には全89チームが参戦。その内訳は、国内ICV(ガソリン自動車)クラス:58チーム(エントリーは66チーム)、海外ICVクラス:11チーム(同22チーム)。国内EV(電気自動車) クラス:10チーム(同12チーム)、海外EVクラス:10チーム(同20チーム)となる。
昨年から「ラグビーワールドカップ」の準備のために敷地内にあるエコパスタジアムが使えないなど会場の使用制限があったが、今年はさらに例年よりも1週間早く8月最終週での開催となった。そのため、車両の製作は通年よりも1週間早くこなす必要があり、さらに事前の書類提出の締め切りは2週間前に繰り上げられるなど学生たちにとっては厳しい状況となったようだが、動的審査の約800mのコースでタイムを競う「オートクロス」では、多くのチームが1分切りを達成するという非常にレベルの高い大会となった。
大会2連覇を狙う大阪大学、そして、3連覇が掛かった昨年惜しくも2位となった京都工芸繊維大学、EVでの総合優勝を狙う名古屋大学、ICV(昨年総合4位)とEV(総合10位)の2チーム体制でやってくる中国トンギ大学と、昨年の強豪校はもちろん、今回初参戦のチームまで実に様々だ。
このレースウィークは本州上に秋雨前線が掛かり、天気予報では傘マークの外れない1週間となり、その天候に左右されるチームもあった。初日と2日目には、静的審査としてデザイン審査、コスト審査、プレゼン審査。そして実際の車両の車検が行われ、3日目からは動的エリアでの実際の走行の審査となる。
この動的審査では、75mの直線加速性能を競う「アクセラレーション」、内径15mの「8の字コース」で定常円旋回性能を競う「スキッドパッド」、さらに直線・ターン・スラローム・シケインといった複合コースでの性能を確認する「オートクロス」の3種目がまず行われ、残りの4日目と5日目は、その複合コースを2名のドライバーで20周走行する「エンデュランス」が行われた。
優勝となったのは、軽量化を進めて車重180㎏を達成し、事前の試走会で最速タイムをマークするなど、事前から好調さをアピールしていた#7 NIT Formula Project名古屋工業大学が800.81点(プレゼンテーション19位、デザイン18位、コスト11位、アクセラレーション18位、スキッドパッド1位、オートクロス1位、エンデュランス1位)を獲得して優勝となった。
これまでチーム最高位は3位(2015-2017年3年連続)と、まだ総合優勝経験のないチームが念願の総合優勝を手に入れた。
#10YNFP 横浜国立大学(プレゼンテーション2位、デザイン4位、コスト29位、アクセラレーション6位、スキッドパッド5位、オートクロス2位、エンデュランス2位)は、2011年、2016年に引き続いて、チーム過去最高位となる2位となった。
EVクラスに参戦して3年目となる今回、満を持して4輪インホイールモーターを搭載して挑戦となった#E01 FEM 名古屋大学(プレゼンテーション15位、デザイン3位、コスト34位、アクセラレーション4位、スキッドパッド4位、オートクロス17位、エンデュランス10位)は、昨年同様デザインファイナル(デザイン上位3校が公開で再度デザインの審査をする場)にも進出するも、総合結果は昨年と同じ3位、EVクラス優勝となった。
海外勢最上位となる#3トンギ大学(プレゼンテーション41位、デザイン8位、コスト53位、アクセラレーション8位、スキッドパッド16位、オートクロス14位、エンデュランス6位)も昨年に引き続いての4位。
そしてチーム過去最高位となる5位に入ったのは#8 FORTEK 神戸大学(プレゼンテーション15位、デザイン15位、コスト6位、アクセラレーション20位、スキッドパッド39位、オートクロス10位、エンデュランス8位)であった。
(青山 義明)