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●チェックポイントは「使用年数と距離の関係」「未メンテ・ブレーキ」「タイヤ」
トヨタプリウスの大ヒットで、ハイブリッド車が当たり前になり、中古車市場にもたくさんのハイブリッド車が見られるようになってきました。エンジンだけのクルマと、モーターや大型バッテリーが搭載されているクルマでは、中古車を選ぶ時に見るべき場所が少し変わります。
今回は、元自動車ディーラー営業マンが「中古のハイブリッド車を買う際の注意点」について解説していきます。
■ハイブリッド車の最重要部分「大型バッテリー」
ホンダの初代インサイトや、スズキ車に積まれていた「マイルドハイブリッド」ではあまり気にすることはないのですが、トヨタ車のような「ストロングハイブリッド」や日産リーフのような「電気自動車」では、バッテリーの状態は気になるところです。
一時期は、走行距離が10万km程度を超えると、ニッケル水素あるいはリチウムイオンバッテリーの寿命が尽きてしまうという話がありましたが、近年の技術革新は目覚ましく、10万kmを超えても元気に動き続けるハイブリッドはたくさんあります。走行距離数というよりは、生産からの経過年数の方が、故障のリスクとリンクするという説があります。
ディーラー営業職時代、初登録から7年~10年経過していて走行距離が5万km程度の車両と、3年で10万km走行した車両では、後者の方がハイブリッドバッテリーに関しての故障が少ないように感じました。使用年数に対し、走行過多になるクルマは、しっかりと満充電から放電を繰り返し行っています。しかし短距離を数回しか走らないクルマは、ハイブリッドバッテリーが充放電を繰り返す前にエンジンが切られてしまい、バッテリーにとってはシビアなコンディションになりがちです。
年間1万km程度使用されているクルマは、クルマにとって適度な負荷がかけられており、ハイブリッド車は「初度登録から期間が長く経過している過少走行のクルマは選ばないほうがいい」と考えられます。
■ブレーキと足回りも注意しましょう
「回生ブレーキ」システムを搭載しているハイブリッド車の場合、ブレーキパッドの減りはガソリン車に比べて少ないのですが、その為に長年ブレーキの部品が交換されていないケースも散見されました。ブレーキパッドやローターの状態や、固着がないかなど、作動状況もしっかりと確認してもらいましょう。
また、大型バッテリーを積んでいるため、車重が重く、足回りに負担が大きくかかってきます。そのため、ダンパーからのオイルの滲みが見られる個体もあります。ハイブリッド車ではより詳しくチェックしてもらいましょう。
■タイヤの減り具合は要チェック
エンジンとバッテリーの両方を積むハイブリッド車は、エンジンだけのクルマと比べると車重が大きくなります。そのため、タイヤへの負担が大きく、タイヤの減りが早くなる傾向にあります。また、発進時にトルクの大きなモーターを使うため、蹴り出しの力が強くなり、タイヤへの負担がより大きくなってしまうのです。
この発進時のモータートルクによる負担は、タイヤメーカーも問題と考えており、ブリヂストンが販売していたスタッドレスタイヤ「ブリザックREVO G’z」では、プリウス用に195/65R15のサイズにだけハイブリッド専用モデルを作っていたほどでした。中古車として購入する際には、タイヤの残り溝も十分確認しましょう。
■まとめ
私自身が、新車購入をして6年半の間12万km以上を走行してきてわかったハイブリッド車の注意点を挙げてみました。ガソリン代が節約されるイメージが大きいハイブリッド車ですが、意外な消耗部品が維持費を押し上げる可能性もあります。
普通のクルマとは構造が大きく違い、電気を使うことに目が行きがちですが、バッテリーに関しては性能の向上で大きな問題点は少ないでしょう。ただ、付いている部品が多いですから、その分、故障が起きるリスクも高まります。
ディーラーでの認定中古車などで、長期保証をつけてもらえるのであれば大きな安心材料となるので、価格ではなく保証内容で選ぶことが大切です。
(文:佐々木 亘)