川畑選手のGRスープラが第一級のスピードで単走優勝に肉薄!【D1GP】

そして第3戦の翌日に第4戦が行われました。コース設定も変わらないので、川畑選手は大きな仕様変更もなく第4戦の単走ファイナルに臨みました。

前日の単走ファイナルで、川畑選手はあえて2本めにも出走しましたが、1本めに高得点を出していた選手の何人かは2本めの走行をキャンセルしていました。タイヤの本数制限があるため、追走で使えるタイヤを温存したのです。第4戦は川畑選手もその作戦をとることにし、1本めの走行からトップを狙って行きました。しかし、またしてもコーナー飛び込みの振り返しで角度をつけすぎてドリフトが戻ってしまいます。1本めに高得点が出せなかった川畑選手は2本めで適度に抑えた走りを披露し、97.52点の6番手で単走ファイナルを通過しました。失敗したとはいえ、1本めの走行で川畑選手がマークした最高速は171.01km/h。170km/hを超えた選手は全体でも3人しかおらず、川畑選手は2番手でした。やはりGRスープラはスピードの面でかなり優位に立っているマシンのようです。

第4戦の追走トーナメント、川畑選手はベスト16で高橋選手と対戦します。じつは高橋選手は単走で175.88km/hという川畑選手を上まわる最高速をマークした唯一の選手です。1本め後追いの高橋選手は川畑選手をとらえますが、DOSS(機械審査システム)の点が低く、川畑選手にアドバンテージ。2本めは川畑選手も近いドリフトを見せますが、コーナー間でコースアウトし、その際にタイヤのビードがリムから外れてしまいます。そのため規定によって負けとなってしまいました。

ただ、このコースアウトにはハンドリング面での課題も影響していました。川畑選手によると「後追いのときは筑波から出ていた、高速コーナーになるとハンドルがかえってこないっていう症状を……対策してきたんですけど、それがまた出ちゃった感じでしたね。もう完全にアクセルが踏めないくらいに、ハンドルが固まってしまってはみ出た感じでした」

このGRスープラは、ワイズファブというエストニアのメーカーのサスペンションアーム類を装着し、ジオメトリーも変更されています。調整箇所も多いため自由度は高いのですが、セッティングが難しいという面もあるようです。

しかし今回、川畑選手のスープラは単走では優勝してもおかしくない実力があり、追走においてもD1トップレベルのスピードがあることが証明されました。あと少しハンドリングの課題が改善されれば、いよいよ初優勝も見えてくることでしょう。

なお、Team TOYO TIRES DRIFT – 1の藤野選手(180SX)は、第3戦では松井選手に敗れて3位。第4戦は決勝に進出しましたが、またしても松井選手に惜敗し、準優勝に終わりました。

Team TOYO TIRES DRIFT – 2のポン選手(86)は第3戦はエンジン不調もあって単走敗退。しかし第4戦ではベスト8に進出し、藤野選手とチームメイト対決の末に敗れて8位となりました。

D1GP2019第5戦と第6戦デュアルファイナルズは8月24、25日に福島県・エビスサーキットで開催されました。

(文:まめ蔵/写真:D1GP)

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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