●初優勝の瞬間でも喜べない!? その時、ピットでは奇策が進行中だった
8月18日(日)、栃木県のツインリンクもてぎで開催されたスーパーフォーミュラ・第5戦決勝。
優勝はITOCHU ENEX TEAM IMPULの平川亮選手。平川選手はこの優勝がスーパーフォーミュラ初優勝となります。
2位の小林可夢偉選手のレース終盤での追い上げが凄まじく、1周で1秒とというハイペースで迫ってきていたのです。
結果的には3秒弱というタイム差で逃げ切った平川選手。この優勝の瞬間、平川選手のチームであるITOCHU ENEX TEAM IMPULのピットの様子はどうだったのでしょう。
ラスト5周ほどになるとスタッフやゲスト、レースクイーンなどが続々とピットガレージに集まり、ラップモニターや公式映像でトップを走る平川選手を見守ります。
その時、星野一義監督はピットのサインエリアでモニターを注視しています。ファイナルラップにはテレビや公式映像のテレビカメラもやってきて優勝の瞬間を待ち構えます。
そしてチェッカーフラッグ!優勝の瞬間、星野監督は小さく拍手をしました。よくある優勝シーンではここでピットガレージからスタッフやゲストがサインエリアにやってきて監督を祝福しますが、今回は誰も来ません。なぜでしょう。
平川選手優勝のチェッカーの瞬間、同じITOCHU ENEX TEAM IMPULの関口雄飛選手がレース直後から奇策と話題となったファイナルラップピットインを行っていたのです。この作業をしている最中ではピットロードを横断するわけにもいきません。
関口選手がピットを離れピットロードでチェッカーを受けるとチームの中でも動きが出ます。平川選手を担当した大駅エンジニアと星野監督が無言で固く握手をします。目だけで会話するような握手はプロフェッショナルな雰囲気が漂います。
サプライヤー、タイヤメーカーの方々も祝福に訪れます。この時星野監督の瞳は涙ぐんでいるように見えます。
平川選手がウィニングラップを走りストレートに戻ってくるという頃、ピットも喜びの雰囲気が大きくなってきました。
星野監督もパルクフェルメの平川選手の元へ駆けつけ、報道陣の写真撮影に応じます。この時の星野監督の表情は大きな喜びに満ちているようです。
表彰台の裏ではIMPULのオイルをサポートするMobile 1のレースクイーンも平川選手の優勝を歓びます。
平川選手の初優勝を支えたITOCHU ENEX TEAM IMPULのスタッフは、プロフェッショナルな集団といえるでしょう。その歓びの表現にクールで渋い男たちの顔を見ることができました。
初優勝となった平川選手には2度、3度と優勝を重ねていってもらいたいと思います。
(松永和浩)