来場者を「おもてなし」するマスコットロボットが実現する、トヨタの「移動」【 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会】

●物理的な移動だけではない、「Mobility for ALL」が想定する3つの「移動」

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)のワールドワイドパートナーであるトヨタは、開発中のロボットを報道陣に公開しました。

東京2020大会マスコットロボット
東京2020マスコットロボットのミライトワ/ソメイティ

なぜ、トヨタがロボット製作をしているのでしょうか。同社は、クルマを作る自動車メーカーからモビリティカンパニーへの移行を掲げています。そのなかで「史上最もイノベーティブな大会」を目指している、東京2020組織委員会の考えに共感し、貢献していきたいという想いからロボット分野にも進出したそう。

東京2020マスコットロボット
東京2020マスコットロボットのミライトワ/ソメイティ

トヨタが考える「移動」は、「Mobility for ALL」という考えに基づき、人や物が物理的に動くリアルな移動がまずあります。2つめは、アバターやエージェントなどを介して、自分の一部や全体が遠隔地に移動し、遠隔地の人と心を通わせたり、遠隔地で新たな体験をしたりするという、バーチャルな移動も含まれています。

さらに、3つめとして、リアルな移動、バーチャルな移動を介して、新たな体験、経験から生まれる、人の気持ちの動き(ループ)も移動と考えているそうです。

トヨタは、この3つの移動をキーワードとして、移動することで、人々がかなえられる夢や、移動したいという希望をロボット技術により、サポートしていきたいとしています。人と協調するロボット、こうした姿を見ることで、ポジティブな気持ちになり、アクティブな行動につながって欲しいと願っているそう。

東京2020大会では、マスコット役としてロボットが使われるのはもちろん、上記のコンセプトを基づき、ロボットを介したコミュニケーション、遠隔操作を通じて、遠隔地にいる観客がアスリートなどと交流したり、遠方のお客さんにも大会の雰囲気が感じられたりするのにロボットが活用されます。

東京2020マスコットロボット
遠隔のマスコットロボット同士で腕の動作や力の感覚を相互に共有できる

もちろん、フィールド競技のサポートロボットも含まれていて、運営スタッフの効率的な競技運営を支援したり、車いすのお客さんが観戦を楽しめたりする生活支援ロボットでのサポートも含まれています。

東京2020組織委員会とトヨタが開発中のマスコットロボット「東京2020マスコットロボット ミライトワ/ソメイティ(以下、マスコットロボット)」の見どころは、愛らしいデザインだけではありません。なお、最終的なデザインは変わる可能性があるそうです。

左の青い方がロボットのマスコットロボットで、遠隔のマスコットロボット同士で腕の動作や力の感覚を相互に共有、つまりロボット同士での動きや感覚がリンクされるのが特徴。

頭部に搭載されたカメラで近づく人を認識し、目の表情と動作を連動させ様々な感情を表現するほか、柔軟な動作制御が可能な小型関節ユニットを全身に搭載し、安全で高い運動性能を保持することを目指しているそうです。

東京2020マスコットロボット
東京2020のロボット連携

なお、今回のプレス向け公開では、予めプログラムされた動き、そしてほかのロボットとの連携は開発中とのことで、模擬的に人が動かすことで、こうしたイメージで連携することを披露していました。

「東京2020大会」では、大会関連施設などにて選手や観客を歓迎するほか、子供たちがマスコットロボットを通じて、新たな形で大会を楽しめる企画を検討中だそうです。

(文/塚田勝弘 写真/長野達郎、塚田勝弘、トヨタ自動車)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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