●6.2L V8 LT2エンジン+DCTにより495hp/637Nmに到達
シボレーは、コルベット初となるミッドシップエンジンが搭載されたC8型「シボレー コルベット スティングレイ」を発表しました。
新型「コルベット スティングレイ」はシボレーモデルの集大成と位置づけていて、かつてない新次元のパフォーマンス、最先端技術、最上級のクラフトマンシップ、ラグジュアリーを提供すべく新たに開発されています。
2020年式「シボレー コルベット スティングレイ」のデザインは、航空機とレーシングカーをルーツとしていて、キャノピー(風防)をフロント寄りに置いたデザインは、まさにF22やF35といった最新のジェット戦闘機やF1レーシングカーにインスパイアされたものだそう。
「コルベット スティングレイ」には、印象的なフロントマスク、水平方向に流れるクラシックなプレスライン、アグレッシブなフロントフェンダー、コルベットならではのデュアルエレメントヘッドランプが含まれ、コルベットのクラシカルなデザイン要素を受け継いでいます。
フロントからミッドシップエンジンに移行したことで、本格スーパースポーツカーへの転身といえます。新たにミッドシップエンジンレイアウトを採用したことで「コルベット スティングレイ」は大きな進化を遂げています。
ミッドシップ化によりリヤ寄りの重量配分になり、ストレートおよびサーキットでのパフォーマンスが向上。フロントアクスル寄りのドライビングポジションが可能になり、レスポンスと操作性が引き上げられたとしています。
ミッドにマウントされる、シボレーの次世代型6.2LのスモールブロックV8 LT2エンジンを搭載。同セグメントで唯一の自然吸気型V8は、パフォーマンスエキゾースト装着時で最高出力495hp(369kW)、最大トルク470lb-ft(637Nm)に達します。エントリーレベルのコルベットとしては過去最大のパワーとトルクになります。これにより、エントリーモデルのコルベットとしては歴代最速を達成。「Z51」パッケージを装着した際の0-60mph加速タイムは、3秒以下だそう。
さらに、パワートレーンを低い位置に搭載することで低重心化を図り、ハンドリングも向上したとしています。最も大きくアップデートされたのは、潤滑およびベンチレーションシステム。ベースグレードモデルに、エンジン取り付け型のドライサンプオイルシステムと3基のスカベンジポンプが初めて採用され、サーキット走行時のための潤滑性能が高められています。
これにより本格的なサーキット走行中に、エンジン内のオイル容量を維持し、パフォーマンスの低下を抑制。新型「コルベット スティングレイ」では旋回性能が大幅に向上しているため、LT2のドライサンプ潤滑システムは、1Gを超える横方向加速度があらゆる方向に加わっても、卓越したエンジンパフォーマンスを発揮できるように設計し直す必要があったそうです。
また、リヤハッチには、3.2mm厚の軽量なガラスパネルが備わり、魅力的なビジュアルを演出する要素になっているほか、LT2エンジンルームの熱を排出するためのトレーリングエッジも用意されています。
次世代LT2エンジンに組み合わされるトランスミッションは、シボレー初の8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)で、素早いシフトと優れたパワー伝達が可能になっています。
このトランスミッションはTREMEC(トレメック)社と共同で専用開発したもので、マニュアルのようなダイレクトな操作感とオートマチックならではの極上の快適性を得たそうです。ダブルパドル式のクラッチ解除機構が備わっていて、ドライバーが両方のパドルをフォールドすると、クラッチの接続を解除することができるため、よりマニュアルに近い操作が可能。パドルシフターにより、ドライバーは特定のギアを選択することができます。
さらに、スモールブロックの新型V8エンジンは、専用のDCTの利点でもある素早いシフトチェンジを生かせるよう、トルクカーブが最適化されています。エンジニアは、DCTの1速ギア比をきわめて低く設定することで、トラクションを高めて素早い発進加速を可能にし、2速から6速まではクロスレシオ設定として、サーキット走行においてエンジンのパワーピークを維持しやすいようにされています。7速と8速は、高めのギア比に設定されていて、ゆったりとした長距離走行を可能にしつつ負荷を軽減し、燃費の向上が図られています。
加えて、このDCTには新しい電子制御トランスミッションレンジセレクターが組み合わされます。電気式シフターには、シフトレバーとトランスミッションの間に機械的なインターフェースが存在しません。
コルベットの電気式シフターには、リバースとドライブ用のプル式トグルスイッチと、パーキング、ニュートラル、ロー/マニュアル用のプッシュボタンスイッチが備わっていて、標準のシフターよりもコンパクトなデザインに仕上げられています。
ミッドシップ化の利点はまだあります。ボンネット、インパネ、ステアリングホイールを低く配置したことで、路面の視認性の高さはレーシングカーと同等していて、ドライバーと同乗者に対して優れた前方視界を提供するとしています。
実用面も向上しているそうで、前後のデュアルトランクにより、約357Lの荷室容量を確保。旅行の荷物や2セット分のゴルフクラブを収納することが可能だそうです。
(塚田勝弘)