●最終ラップでトップが入れ替わる大混戦となったGT300クラス
6月29〜30日にタイのチャン・インターナショナル・サーキットで開催された「2019 AUTOBACS SUPER GT Round4 Chang SUPER GT RACE」。決勝は30日に行われました。
前日の予選でポールポジションを獲得したのは25号車 HOPPY 86 MC。
予選2番手は56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、3番手は7号車 D’station Vantage GT。
タイ戦ではパレードラップはなく、フォーメーションラップを経て現地時間15時ちょうど(日本時間では17時)に決勝レースがスタート。そのスタートはHOPPYが見事に決めたものの、予選2番手の リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが裏のストレートまでにHOPPYを抜き去ります。
オープニングラップをトップで帰ってくるリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rはその後もレース終盤までトップをキープしていきます。
リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rの後方で粘っているのがHOPPY 86 MC。しかしHOPPYの2番手も盤石とはいきません。
序盤の2位争いでHOPPYに絡んできたのがD’station Vantage GTと10号車 GAINER TANAX triple a GT-R。そう、GAINER TANAX triple a GT-Rもオープニングラップで大きくジャンプアップし4位にまでポジションを上げていたのです。その勢いに負けてなのか、それともタイヤ無交換作戦のためのタイヤ温存なのかは定かではありませんがHOPPY 86 MCはジリジリと後退を余儀なくされます。
しかし各車がピットインをし始める頃のGT500での31周目にHOPPY 86 MCもピットイン。やはりタイヤ無交換作戦でピットアウトしていきます。
GT500の37周目でGT500のホンダ勢3台が絡むクラッシュが発生。1台がコース上に止まってしまうという状況の中で、セーフティーカー導入を見越してかこれまでピットインを遅らせてきたのD’station Vantage GTがGT500の38周目にピットイン。そして左2輪交換という大きな賭けをしてのピットアウト!
その後セーフティーカーが導入され、GT500の43周目に解除。大きなマージンを築いていたリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rもセーフティーカー導入によりそのマージンが帳消しになってしまいます。その直後にはGAINER TANAX triple a GT-R、11号車 GAINER TANAX GT-R、65号車 LEON PYRAMID AMG、そしてタイヤ左2輪交換で賭けに出るD’station Vantage GTが続きます。
レース終盤はリアライズ 日産自動車大学校 GT-RとGAINER TANAX triple a GT-Rの2台による熾烈なバトルで2位と3位の間には10秒のアドヴァンテージ。GT500の60周目には5位つけていたD’station Vantage GTが右リアタイアバーストにより戦線を離れるなど大きな動きも見られます。
そして迎えたラストラップ。GT300のトップ争いにGT500の3位争いが絡んだその時にドラマが生まれます。リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが同じチームのGT500マシンに道を譲ったその瞬間、そのマシンにピッタリとくっついてGAINER TANAX triple a GT-Rが続きます。リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rは為す術もなく抜かれてしまいます。
そのままGAINER TANAX triple a GT-Rがトップでチェッカーフラッグをくぐり抜け優勝!
劇的なラストラップのドラマを経て優勝をもぎ取ったGAINER TANAX triple a GT-R。石川京侍選手にとってはSUPER GT初優勝となります。
次戦はSUPER GTで最も暑いとされる、それこそタイ以上に暑い上に800kmというレース距離で8月3〜4日に開催される第5戦の富士500mile。いまから数多くのドラマが期待されるレースとなります。
(写真:松永和浩、高橋秀彰 文:松永和浩)