スポーツランドSUGOで開催されたスーパーフォーミュラ第3戦。決勝の行なわれた日曜日は未明に降った雨の影響で、朝9時10分からのフリー走行ではライン上以外が濡れたダンプコンディションからのセッションとなりました。
そして迎えた決勝。ウォームアップ走行が始まる午後1時半過ぎには、天気予報に反して雲の切れ目から強い日差しがサーキット全体を照らす、絶好のコンディションでのレースとなりました。
今シーズン、これまでの2大会で、決勝中使用義務のある2種類のタイヤコンパウンドのうち、ソフトタイヤの耐久性が非常に良く、コースによっては250kmのレースディスタンスの殆どをレースペースで走れてしまうことが証明されたため、決勝スターティンググリッドで装着されているタイヤの種類を見ることで、ある程度の戦略が読めるようになりました。
午後2時20分、フォーメーションラップからスタンディングスタートで決勝レースがスタート! 大きな混乱や接触もなくクリーンなスタートが切られます。
すると1周目終了から早くも数台のミディアムタイヤ装着車がピットイン、10周終了までに、全20台中12台がソフトタイヤに交換してコースに戻っていきます。
そうしている間にも、ポールポジションからソフトタイヤでスタートした#1 DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの山本 尚貴選手が、後半でのピット作業でのタイムロス分の時間を稼ぐべく序盤から猛チャージ。これに同じくソフトタイヤスタートの#50 B-Max Racing with motoparkルーカス・アウアー選手、#65 TCS NAKAJIMA RACING牧野 任祐選手らが続きます。
アウアー選手は4周目で、このレース全体でのファステストラップとなる1’08.048を記録します。また、4番手走行の#51 B-Max Racing with motoparkハリソン・ニューウェイ選手、5番手のTCS NAKAJIMA RACINGアレックス・パロウ選手までがHONDAエンジン搭載車となり、ニューウェイ選手がピットインする49週目までトップ5をHONDA勢が独占します。
また後方では、序盤でタイヤ交換義務を消化した#16 TEAM MUGEN野尻 智紀選手、山本選手のチームメイト#5 福住 仁嶺選手のこちらもHONDA勢が、ソフトタイヤスタート組のピットタイミングで順位を入れ替えるべく猛追します。
この前後では、#19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL関口 雄飛選手と#36 VANTELIN TEAM TOM’S中嶋 一貴選手、そして#37 VANTELIN TEAM TOM’Sニック・キャシディ選手と#18 carrozzeria Team KCMG小林 可夢偉選手が、TOYOTAエンジン搭載車同士で激しいバトルを繰り広げます。
レース中盤以降、トップを快走する山本選手と規定ピット消化済みトップの野尻選手とのギャップは、1周で0.5〜1秒ずつ開き、32周終了時では41秒、50周終了時では51秒以上の差となります。その直後の51周終了時点で山本、アウアー、牧野の3選手が同時にピットイン。ミディアムタイヤに履き替え規定ピットを消化し、そのまま野尻選手の前でコースに復帰します。
ここまでコースアウトや接触による中断なくレースが進行していましたが、56周目の1コーナーで3位走行中の野尻選手が、前を走るアウアー選手のインに飛び込みポジションアップを狙いますが、オーバースピードでそのままコースアウト。グラベルにはまりそのままレースを終えてしまいます。
このコースアウトによって、このレース最初のセーフティカーが導入。ここまでソフトタイヤで引っ張ってきたパロウ選手がこのタイミングで規定ピットを消化するためピットイン。これで全車が規定タイヤ交換を消化し、見た目上も山本選手がトップとなります。
最終盤、レース残り3周でSCランが解除されると、SC直前に4番手まで順位を上げていた小林選手が、周回遅れに引っかかったアウアー選手を4コーナーでオーバーテイク。3秒先の山本選手が視界に入りますが、60周以上周回したタイヤと残り周回数ではここが精一杯だったようです。
こうして、前日の不本意な予選でのポールポジションからスタートした山本選手が、運も味方につけ、ディフェンディングチャンピオンの意地と絶対的な速さで見事!ポール・トゥ・ウィンを飾りました。
2位にはミディアムタイヤで5番手からスタートした小林選手、3位には山本選手と同じくソフトタイヤで3番手スタートのアウアー選手が、チーム創設以来国内トップフォーミュラでの初ポイント、初表彰台を獲得、やはり予選上位者が表彰台に上がる結果となりました。
レース後、山本選手は「昨日の予選はドライバーにとっても、見に来ているお客さんにとっても腑に落ちない形で終わってしまいましたが、今日サーキットに来てみると、ご覧のとおりグランドスタンドにも1コーナースタンドにもとても多くのお客さんが見に来てくれていて、とても嬉しい。こうして見に来てくれるお客さんのためにも、ドライバーやチームがオーガナイザーと協力して素晴らしいレースを今後も見せていけるよう頑張っていきたい。」と話し、多くの方にレースを好きになって、楽しんでもらいたいという気持ちが伝わってきました。
そんな気になる次戦は早くもシーズン折返しとなる第4戦、7月13、14日に静岡県の富士スピードウェイで開催されます。世界屈指の高速サーキットでのSF19がどんな走りを見せてくれるのか、とても楽しみです。
(H@ty)
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