新型Mazda3は、流麗なリヤビューをもつファストバック(ハッチバック)がやはり売れ筋になっているようですが、短時間ながらも試乗できた2.0Lガソリンを積むセダンも、かなり魅力的な走りを披露してくれました。
ボディのしっかり感は、リヤに大きな開口部を持つファストバック(ハッチバック)よりも独立したキャビンを持つセダンの方がやはり一枚上手。大差とはいえないものの、ハンドリングで走らせた時のドライバーとの一体感は若干上に思えましたし、後方、斜め後方の視界も含めてセダンの方が乗りやすいという印象。
試乗車のセダン(20S Lパッケージ)が積んでいたのは、「PE-VPS」型の2.0L直列4気筒ガソリンで、エンジンスペックは156ps/6000rpm、199Nm/4000rpm。なお、セダンのトランスミッションは6ATのみとなります。
ファストバックもそうでしたが、路面のいいクローズドコースという条件付ではあるものの、滑るように発進し、多少の段差であればサスペンション、シートが減衰し、乗員が揺すぶられるようなシーンはあまりありません。フラットライドなのでクルマ酔いしやすい子どもがいる家族層にも向きそう。
ガソリンエンジンですのでディーゼルよりも静粛性が高く、伸びやかな加速フィールも美点。一拍おいてから力強さを増すディーゼルターボよりもスムーズな加速が引き出せます。
さらに、同じ1人試乗時だとディーゼルよりも60kg軽いこともあり、高速周回路では軽やかにレーンチェンジが可能で、ハンドリング路ではより軽快なフットワークを披露してくれました。
ガソリンエンジン仕様もディーゼルエンジン仕様も、アクセラと同じ電動パワーステアリングで、従来と同じ方向性のテイストではあります。それでも、最も感心したのは、絶えず大きな舵角で切り返すハンドリング路という状況でもしっとり感のあるステアフィールを失わない点。ドライバーは、ペダルやステアリング操作、さらにサスペンションの動きなどから動的質感を得ています。
Mazda3の自然なステアフィールは、プレミアムCセグメントといえる域に入っています。
さらに、ハンドリング路で素早くステアリングを切ると、足がよく動くのとストローク感も十分に伝わってきます。一方で、周回路ではしっかり感があり、ドイツ勢のように矢のような直進安定性まではいかないものの、よく曲がるのにまっすぐ走るのも苦手としないのも美点。
Mazda3は、価格的にはプレミアムモデルではなく、Cセグメント(Cカー)のど真ん中を狙ったモデルであり、ベースモデルであれば200万円台前半で手に入ります。
それでいながら走りの性能は国産、輸入車を問わずCセグメントの中でもトップクラスに付けているのはマツダの最新世代として十分な説得力があります。
(文/塚田勝弘・写真/井上 誠)