ホンダNSR、スズキRGガンマ、ヤマハRZ…現役バリバリで活躍する2ストロークマシンたち【テイスト・オブ・ツクバ】

■フルカーボンカウルからチタン製チャンバーまで! チューニングが熱い

もはや絶滅の危機に瀕しつつある2ストローク。しかし、日本最大のアマチュアレースであるテイスト・オブ・ツクバでは、1980〜90年代に登場した2ストロークマシンが甲高いエキゾーストノートを響かせながら、筑波サーキットを快調にラップしている。そんな様子を眺めていると、「やっぱり、2ストっていいよなぁ」とつい独り言が出てしまうのであった…。
というわけで! ここではテイスト・オブ・ツクバの会場で目を引いた2ストロークマシンをご紹介しよう。

【カーボン製カウルを全身にまとう】

・マシン:スズキRG500Γ
・ライダー:水沼義隆選手
・クラス:D.O.B.A.R. ZER0-1

2スト付きが卒倒しそうなほどにスタイリッシュな一台。外装からホイールまでカーボンパーツで武装している。ベースになっているのは市販車最速の2スト、RG500Γだ。製作はマジカルレーシング。同社の蛭田社長は自らも500Γでこのレースに参戦、様々なパーツを開発してきた。このマシンにはそれらのパーツがフルに組み込まれている。

カウル、シートはもとより、タンクやシートレールもカーボン。ホイールも超軽量なBSTのカーボンだ。前後サスはホワイトパワー、チャンバーとステップはKファクトリーの特注。エンジンはノーマルだが、NOVAの乾式クラッチとヤマモトレーシングのクロスミッションを装備。

このマシンを関西のバイクショップJOYONE代表の水沼氏(その昔、マジカルレーシングのライダーだったとか)が譲り受け、今回からレースに参戦。セッティングの時間が取れず、ストレートが伸びない状態だったにも関わらず4ストローク勢を抑えて前半はトップを快走した。最終的にエンジントラブルでリタイヤしたが、タイムはすでに1秒台に入っているため、次回は優勝を狙うと意気込みを語ってくれた。

【RZライダーのお手本的マシン】
・マシン:ヤマハRZ350R
・ライダー:佐藤泰子選手
・クラス:D.O.B.A.R. ZER0-1

ヤマハRZでレースをするライダー達のお手本になったのがこのトシテックのRZ350Rだ。90年代前半、GP250のメカをやっていた佐藤としゆきさん(トシテック代表)によって製作され、以来優勝、入賞回数は数えきれず。RZ用のレースパーツの多くが、このバイクによるレース活動から生み出された。

アドバンテージとトシテックがコラボして製品化されたTZR250R(3XV)用アルミフル鍛造ホイールと、RZ用チタンクロスレーシングチャンバー&チタンカーボンショートサイレンサー。

ZERO-1クラスで2ストの排気量リミットが500ccとなり、RZ350Rが激減してからもたった一台、奥さん(愛称アッシー)のライディングによってZERO-1に参加し続け、ビッグバイクと争って上位に入賞していた。数年前、レース中の転倒で足を怪我して、現在はリハビリ中のため、RZでのレース活動を休止しているところ。

レースの時はブースにマシンが展示されるのみだが、それでも多くのファンが訪れてくる。早い日の復活が待ち望まれるマシンだ。

【左右で異なるカラーリングが魅せる】
・マシン:ホンダNSR250R
・ライダー:小林正義選手
・クラス:D.O.B.A.R. ZER0-4


91年、関東選手権SP250のチャンピオンだったオーナーがレースにリターンするにあたり製作したホンダNSR250R。レース直前にバイクが完成したもののトラブルがどうしても対策できないままレースに。予選当日、マシン製作を担当したライズオンの持ち込んだパーツで一気に完調になって予選、決勝共に3位に食い込んだ。

【NSRを破りコースレコードも樹立】
・マシン:スズキRGV250Γ
・ライダー:今泉七瀬選手
・クラス:D.O.B.A.R. ZER0-4

最近、250クラスのライダー最大の話題はスズキRGV250Γとライダーの今泉選手。ストレートではこれまで最強だと思われていたホンダNSR250R勢を上回る速度を発揮。レースでも前回に引き続き今回も優勝。しかも1分1秒563というコースレコードのおまけ付き。

【14,000まで回るハイチューン2スト】
・マシン:ヤマハRZ250
・ライダー:河田孝宏選手
・クラス:D.O.B.A.R. ZER0-2

鉄フレームに限定されているZERO-2クラスではヤマハRZ250Rの活躍が目立つ。しかしポテンシャル的には不利でも敢えて初期型のRZ250で挑戦するライダーもいる。このマシンは関西のチューナー、大阪SAMレーシングが手がけた。14,000rpmまで回るハイチューンエンジンでRZ250Rや4スト400勢と戦う。

(文:後藤 武 写真:磯部孝夫〈NSR250R/RG250Γ/RZ250〉、長野達郎〈その他〉)

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