恐るべしMAZDA3! マツダの徹底したこだわりは発表会場のコーヒーにも貫かれていた!?

■こんな発表会は初めて!? 会場選びから装飾品まで、MAZDA3の世界観を表現するために厳選された空間作り

マツダは5月24日、新型車「MAZDA3(マツダ・スリー)」を発表しました。

マツダ3は、マツダの新世代商品の第一弾となるモデルです。それだけに、開発チームをはじめとする関係者の気合いの入りようはハンパではありません。そのこだわりぶりは、メディアを対象とした発表会にも貫かれていました。ここでは、その模様をレポートしましょう。

発表会の舞台となったのは、「寺田倉庫 B&Cホール」という東京都品川区・天王洲アイルにあるイベントスペースです。天王洲アイルは再開発によって、オフィスのみならず多様なショップやカフェが集まるオシャレなスポットとして人気を集めています。新型車の発表会というとホテルの大広間で行われるのが定番ですが、マツダは「マツダ3の世界観を表現する」のに最適な場所を選んだ結果、このイベントスペースに白羽の矢を立てたそうです。

マツダは、会場の設えにもこだわりました。新型車の発表会なのだから、本来は主役である新型車が置いてあれば十分のはず。しかし、前述した通り、この発表会の目的は単なる新型車のお披露目ではなく、「マツダ3の世界観を表現する」こと。そのために、車両以外の展示物やオブジェにもこだわった空間作りが行われていました。

たとえば、会場内の一角にはラウンジのような雰囲気を表現するために、「スワンチェア」が数脚置かれていました。スワンチェアはその名の通り、白鳥が羽を広げたかのようなデザインが特徴で、デンマークのアルネ・ヤコブセンというデザイナーが手がけた有名な椅子です。「ここは中目黒の家具屋さんか!」と突っ込みたくなるようなお洒落なオーラが漂っていたせいか、この椅子に座って休んでいる人は見当たりませんでした(笑)。

会場の壁に貼られた写真にもこだわりがあります。マツダ3の存在をことさらにアピールするのではなく(というか、ほとんどマツダ3が映っていない写真もあります)、マツダ3のある日常の1シーンを切り取ったかのようなモノクロームの写真が貼られていました。まるで、どこかのギャラリーのような雰囲気です。

こちらはオブジェとして飾られていた、モノリスのような黒い壁。わざわざ今回の発表会のために作られたそうです。木製なのですが、表面をただ黒くするのではなく、黒い塗料を使ってわざとムラがある塗り方がされているのが目を引きます。マツダの担当者の方は、そうした狙いがしっかりと表現できているか、途中で作業場にチェックしに行ったそうです。

●中目黒のお洒落カフェが焙じ茶&コーヒーのサービスを担当

驚いたのは、発表会が終わった後にちょっと一息と思って飲んだコーヒーがとても美味しかったこと。来場者のためにドリンクのサービスを行ってくれていたのは、「artless craft tea & coffee(アートレス クラフト ティー&コーヒー)」。アートレス クラフト ティー&コーヒーは中目黒にあるギャラリー併設のカフェで、一杯ずつハンドドリップで提供されるコーヒーや、常滑焼の急須で淹れられる焙じ茶が洗練された雰囲気の店舗で味わえるということで、感度の高い人たちから人気を集めています。こうしたこだわりのショップ選びも、マツダ3の世界観作りの一環というわけです。


イケメン&美人なスタッフの方々。背後に見える棚などの什器も、アートレス クラフト ティー&コーヒーから持ち込まれたものだとか。

ちなみにマツダ3は、世界で最も権威のあるデザイン賞の一つである「2019年レッド・ドット賞:プロダクトデザインにおけるベスト・オブ・ザ・ベスト賞」を受賞しました。残念ながらそのトロフィーはまだ届いていないとのことなので、代わりに2017年に受賞したMX-5 RF(ロードスターRF)、2015年に受賞したMX-5(ロードスター)のトロフィーが展示されていました。

今回の発表会では、別府耕太主査がマツダ3に対する思いや開発の狙いを語ってくれました。マツダ3は何を目指したのか。どういうユーザーに乗ってもらいたいのか。別府さんの言葉からはもちろんですが、それだけではなく、会場全体からもマツダのメッセージが来場者に伝わってくる。そんな発表会になっていたのがとても印象的でした。

(写真・文/長野達郎、動画/藤原孝洋)