●フレキシブルで多用途に適用できる、アウディの「2.0 TFSI」エンジン
2019年5月22日、アウディAGは、同社の2.0 TFSIが「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」の150〜250hpカテゴリーにおいて、クラスアワードを受賞したと発表しました。同賞は、世界から集まった70名の専門家により選出されるもので、アウディは受賞の常連になっています。
選考委員は、この2.0 TFSIを「これまで見たなかでもっともフレキシブルで多用途に適用できるエンジンです。何でもできるエンジンいえるでしょう」と評価しています。
AUDI AG技術担当役員のローテンピーラー氏は「このエンジンが、その適用範囲の広さを理由に受賞したのは、大変喜ぶべきこと。我々はこのユニットを純粋なガソリンパワートレインだけではなく、プラグインハイブリッドのベースとしても使いますし、また天然ガスやAudi e-gasにも使えます」とその強みを強調しています。
また、高い評価を受け続けるTFSIについて「我々は最初のTFSIを2004年に市場投入しました。それ以降、2.0 TFSIは毎年クラスウィンに輝いてきました」とコメント。
2.0 TFSIは、2005年から2009年にかけて、2Lカテゴリーで連続受賞をしています。また、2010年から2018年まで、2L以上の大排気量カテゴリーにおいて直列5気筒の2.5 TFSIがアワードを獲得しています。2019年は、クラス分けが排気量から出力ベースに変更されましたが、アウディ製2.0L直列4気筒エンジンは再び同カテゴリーでトップに輝いています。
なお、TFSIとは、直噴ターボエンジンを意味するフレーズの頭文字を取ったもので、アウディ(VWグループ)は2004年、ターボチャージングと燃料筒内直接噴射の技術を組み合わせて量産し、ダウンサイジングターボ流行のきっかけを作りました。
現在「ライトサイジング」という考え方も導入しているアウディ。当時の戦略は、「ダウンサイジング」と呼ばれるようにターボチャージングにより実排気量を減らし、環境性能向上を果たすのが狙いでした。TFSIを採用した最初のモデルは、アウディA3スポーツバック 2.0 TFS。
その次世代となるのが、開発コード「EA888」の名で呼ばれるユニットで、世界中のマーケットを視野に入れたものでした。同エンジンは、ハンガリー ジュール工場、中国 大連工場など世界のエンジンプラントで生産されています。
現在の2.0 TFSIは、10を数えるアウディモデルラインに搭載され、パワーレンジは最高245hpに到達。2019年のジュネーヴ モーターショーでは、強力な電動モーターと2.0 TFSIを組み合わせたプラグインハイブリッドのQ5が発表されました。一方この2.0 TFSIは、ミッドサイズのg-tronモデルにも採用されています。ここでは燃料として天然ガス(CNG)やAudi e-gasを使用します(Audi e-gasは、サステナブルな生産工程で大量生産が可能なガスの名称です)。
(塚田勝弘)