警察官が車両を運転するとき「シートベルトをしない」意外な理由とは?

■交通安全イベントに関わらずシートベルトをしない婦警がいた

・シートベルトをしない理由は「敷地内だから」!?

暖かい日差しに恵まれた日曜日の午後のことです。都内某所の広場で、警察による交通安全関係のイベントが行われていました。当日は春の交通安全運動2日目、子供達の集まる場所でこうしたイベントを行うことは非常に意義のあることでしょう。

私が通りかかったときにちょうど一人の女性警察官が1ボックスの警察車両を移動しているところでした。ふと見るとその女性警察官はシートベルトをしていません。そこで私は注意を促しました。

私「シートベルトしたほうがいいですよ」
女性警察官「はい。でもここは敷地内ですから」
私「そういう問題ではなくて、あなたたちはお手本にならないとダメでしょう」

というやりとりがあったのですが、女性警察官はシートベルトを装着してはくれませんでした。とても残念です。警察官にはぜひシートベルト装着のお手本になってもらいたいものです。敷地内で、道路交通法が適用にならないからシートベルトをしない。たしかに法規は守っていますから何の問題もありません。それは道路ではおとなしく運転しているお父さんが、駐車場にはいった瞬間に暴走するのと同じじゃないでしょうか?

・「ルールだから」「危険だから」ではない「お手本だから」やるべき!

私の先輩であり、所属する日本自動車ジャーナリスト協会の会長である菰田潔氏は、後席のシートベルトが義務化される以前に500名の警察官を前に講演した際「後席でシートベルトを装着する人?」と質問したところ、ただの1名も手を上げなかったそうです。菰田氏は「そんなことじゃダメだ」と壇上で怒ったそうです。

多くの自動車メディアは撮影時によほどの理由がない限り、停車中であってもシートベルトを装着した状態で撮影することを心がけています。停車中ですからシートベルトをしている必要はないのですが、シートベルトを装着することが当たり前で、その姿を見せるようにするためです。私たちのようにいつも自動車メディアで仕事をしていると何も考えずに、シートに座った瞬間にシートベルトを装着します。慣れたモデルさんだったら「シートベルトして撮影しますよね?」と聞いてきてくれます。

シートベルトは規則だから装着するではなくて、安全を確保するために装着するものです。そして、警察官はそのことをよく理解してお手本として振る舞っていただきたいものです。

我々は運転席に人がいない写真でもシートベルトして撮影するのです。(写真:前田惠介/モデル:立花サキ)

※最初の写真掲載にあたりモザイク処理を行わずに掲載しようとも考えましたが、この提言は個人攻撃をしたいわけではなく、警察全体の問題として捉えていただきたいので、処理を施しました。ぜひ、お手本となって、一人でも事故の被害者を減らすようにして下さい。そのためには私たちは協力を惜しみません。

(諸星 陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
続きを見る
閉じる