「王冠」ではなく「皇冠」。中国のクラウンは「らしさ」が特徴!?【上海国際モーターショー2019】

●中国のクラウンがいつの間にか「新顔」になっていた

「皇冠」という漢字車名がどのクルマを指すのかイメージできる人はそう多くないかもしれませんが、「クラウン」と答えを言えば「なるほど」と思う人も多いことでしょう。

中国で生産されるクルマは漢字の車名を示すことが義務付けられていますが、たしかにクラウンは「王冠」を意味する言葉なので、中国表記で「皇冠」というのはストレートです。

トヨタのフラッグシップセダンといえば日本では「クラウン」ですが、国外向けは基本的に「カムリ」(北米のみ「アバロン」)が最上級となり、実は現在でもクラウンが正規モデルとして用意されているのは日本のほかは中国のみ、ということまでご存知なマニアももしかしたら少なくないかもしれませんね。

そんなクラウン、日本では昨年(2018年)にフルモデルチェンジしましたが、上海モーターショーのトヨタブースに並んだクラウンはこんな顔をしていました。

日本でいえば先代に相当する世代です。しかし日本仕様そのままではなくしっかりとモデファイされており、しかも日本仕様よりも躍動感のあるデザインになっているのが興味深いところです。

全長は5020mmで、ホイールベースは2050mm。つまり日本でいうところの「マジェスタ」をベースとした、ロングホイールベース仕様というわけ。ただしパワートレインは、3.5LのV6エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドだった「マジェスタ」と違い、2.0Lの4気筒ターボエンジンを搭載。はやい話が、見た目は立派でパワートレインはベーシックという、中国のセダンの公式にしっかりとあてはまるパッケージですね。

価格は25万800元(約416万円)~37万4800元(約620万円)。文句なしの高価格車ですが、アルファード(日本からの完成車輸入)が80万5000元(約1340万円)もすると考えれば、現地生産なのでやや割安といえるでしょう。

ちなみに、新型クラウンは中国への導入予定なしとのこと。よくよく考えてみると、最新のクラウンはその歴史が始まって以来初めての国内専用車なのかもしれません。

クラウンと言えば日本を代表する上級サルーンですが、意外なことに海外市場にも展開されたクルマだったということを、上海モーターショーのトヨタブースであらためて感じたのでした。

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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