【新型3シリーズの走行性能は、内外装以上に中身の改革が進んでいる!?】
新型のBMW330i Mスポーツ(632万円<オプション含まず>)の実車をチェックしています。既にお伝えした内外装編に続き、いよいよ試乗チェックに移ります。
新型3シリーズに搭載されているのは今のところ、直列4気筒2Lガソリンエンジンのみとなっています。
出力は2種類が設定されており、今回チェックした330iMスポーツにはハイスペックなバージョンが搭載されています。これは過給ユニットで、そのタービンはツインスクロールタイプとなっています。
またエンジン本体はBMW独自の無段階可変バルブ制御システム「バルブトロニック」のほか、可変カム制御のダブルVANOSが採用されています。これらによって従来モデルに搭載されていたユニットと比べ、ほぼ全域で50Nmのトルクアップを実現しているのが売りとなっています。また最高出力も6ps増大しています。
なお、ダイレクトイグニッションシステムは大きくバージョンアップされ、燃圧が従来から200バール高い350バールとなりました。よりきめ細かく燃焼制御することが可能になったため、パワーユニットとしての効率が大きく向上しています。
スペックとしては、最高出力が258ps/5000rpm、最大トルクは40.8kgm/1550〜4400rpmとなっています。
今回、実際にこれをドライブした、元F1パイロットでレーシングドライバーの井出有治選手に聞いてみましょう。
「スペックで見られる数値以上に出力があるように思えるフィーリングがあります。ただし、その出方は(急に立ち上がって)ズドンとくる形でもないので、普段乗り仕様として非常に運転しやすい反応のエンジンだと思います」
シャシーを確認していきましょう。ホイールベースが従来比40mm拡大して2850mmとなるのと同時に、トレッドをフロントで43mm、リヤで21mm拡大したことによって「踏ん張り」の効くディメンションを形づくっています。
これにフロントはダブルジョイント・スプリング・ストラット式、リヤにはマルチリンク式のサスペンションを組み合わせました。
BMWといえば気になるのがこれらによるシャシーの出来ですが、もちろんこれも文句のつけどころがない完成度に達しています。
ドライバーの井出選手は「BMW独特の、ステアリングを切ったときの敏捷性高い反応というのはもちろん健在です。それでいて目地段差を越えるときなどのショックの吸収はうまくできてるので、長時間ドライブでもストレスは感じさせない足回りだな、と思います」と、かなりの高評価。
走行モードに関しては従来からのエコプロ(燃費重視)、コンフォート、スポーツはそのまま継続されました。今回テストした車両にはこれに加えて新種の「アダプティブ」が追加されています。
これはサスペンションやステアリング、トランスミッションの制御を連続可変調整してくれるモードです。
さて、大きく先進運転安全装備が強化された中で、今回の試乗中に特に進化を感じたのがレーンキーピングアシストです。
日本初採用となる3眼式カメラを採用したことによって、制御に自信があるのでしょう。従来のレーンキーピングアシストとは比べ物にならないような強い力で、積極的に介入を行ってきます。
白線を外れそうになると、明確にぐいっと元の車線に戻そうとしてくるのです。そこには不自然さはなく、安心して任せられる感じがあります。
エンジンやシャシーの洗練度合いはもちろんですが、本格的な自動運転に向けて車両制御技術の向上を大きく体感できたのが今回の試乗でした。
新型BMW3シリーズ、内外装以上に中身の改革が進んでいる感じです。
(写真・動画・文/ウナ丼)