トヨタが「Toyota Safety Sense」とドライブレコーダーの画像データを使った高精度地図自動生成の実証実験を開始

自動運転に欠かせない高精度地図。2019年に入って日本企業の動きがさらに活発になっています。

2019年2月に入り、ダイナミックマップ基盤(DMP)が北米で高精度地図を手掛けるUshr社を買収。さらに、ダイナミックマップ基盤とソフトバンクが、自動運転や安全支援システムの中核を担う高精度3次元地図「ダイナミックマップ」に関する実証実験を、2019年1月中旬に実施しています。

オールジャパンといえるDMPの株主としてトヨタ(トヨタマップマスター)も名を連ねていて、トヨタの動きも明らかになりつつあります。

そんな中、「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)」と米国の「CARMERA Inc.(CARMERA)」の2社は、2019年2月28日、高精度地図の自動生成に向けた一般道での実証実験を共同で行うことに合意したと発表しました。

「TRI-AD」では、「Automated Mapping Platform(AMP)」というオープンなソフトウェアプラットフォーム上で参加企業から得た自動運転車両のデータを共有して高精度の地図を作り、共有するという構想を持っており、今回の実証はその第一歩としています。

先述したように、自動運転では高精度な地図データ基盤に基づいた信頼性の高い道路情報の提供が不可欠。現在は、高速道路の地図作成は進んでいるものの、そのカバー率は全世界の道路ネットワークの1%未満(TRI-AD社内の調査に基づく。日本・米国・中国・ドイツの高速道路の高精度地図がすでに整備されているとした場合、全世界の道路ネットワークに占める割合は1%未満と想定)といわれているそうで、次のステップとして高速道路以外での地図作成が課題とのこと。

今回の実証実験で2社は、今後数か月間に渡って、トヨタの市販車に搭載されているカメラを試験車に搭載し、東京の市街地のデータを取得。そのデータをもとに、高精度地図を自動的に生成する実証が行われます。

一般に販売されている乗用車を使用するため、試験車に搭載するカメラはトヨタがグローバルで車両に搭載している「Toyota Safety Sense」のコンポーネントが採用されます。「Toyota Safety Sense」からの画像データなどをCARMERAのリアルタイムプラットフォームで処理し、高精度地図を生成。さらに試験車に搭載する市販のドライブレコーダーを搭載し、その画像データなども利用することで、「Toyota Safety Sense」を搭載しないフリート車両からの自動生成も合わせて実証されます。

トヨタは、同実証実験で自動生成される地図と、市場に流通している地図を組み合わせることで、より信頼性の高い道路情報の提供が可能となり、将来的には、世界中の市販車から取得したデータをもとに高精度の地図が自動生成され、あらゆる道路における自動運転の実現が期待できるとしています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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