目次
●オートマイスターの主・清野さんがフィアット・500の魅力を語る
大阪でフィアット・ヌォーヴァ500(チンクエチェント)などを中心に手掛けるショップ「オートマイスター」を訪ねました。ここで、ショップの主・清野(きよの)さんに、少し古いフィアットの奥深さを教えていただくことができました。
大阪市平野区の住宅街の一角、路地を入ると、ずらりと古いフィアットが並ぶヤードがありました。オートマイスターさんです。ここには全国から、豊富な経験と腕を頼りに、古いフィアット500中心に多くのクルマが整備中だったり、整備を待っています。
●エンブレムの違いでかなり印象が変わるシュタイア・プフの500
まず目を惹いたのは、オーストリアのシュタイア・プフで創っていたモデル。フィアット500はシンプルで、簡素、扱いが容易であることから、フィアット以外でもいろんなメーカーが製造していました。イタリアだけでなく世界中の様々な国と地域で、多くの人に親しまれ愛されてきました。
そして、イタリア以外の地域での自動車産業、自動車技術の振興にも大きく貢献してきたモデルなのです。ただ、もともとベーシックカーです。クルマ趣味の対象としてではなく、日常のアシとして活躍してきたクルマが多い車種。しかもユーザーは比較的低所得の人も含め、幅広いこともあり、販売台数はかなり多いものの、その割にはなかなか残りにくい車種だったりもするのです。
最近の旧車の流行もあり、日本でも程度の良いフィアット500の価格は安くはないです。まして台数が少ないフィアット以外のブランドの500、出てくるとかなり高いこともあるのだそうです。おそらくボディパネルなどは同じ型で作っているでしょうからフォルムは500そのものですが、シンプルなフィアットのエンブレムが凝ったプフのものになるだけで、だいぶ印象が変わりますね。
現在のシュタイア・プフはダイムラーの一部門で、メルセデスの4MATICシステムの開発や、4輪駆動モデルの製造をはじめ、最近ではBMWとの提携もあり、X3の開発にも多くかかわっています。そんなご縁でしょう、BMWとプラットフォーム・エンジンなどをZ4と共用する話題の時期スープラの製造も手掛けるというので、少し話題になりましたね。
今ではそんな世界中の自動車メーカーが頼る技術屋集団のような同社ですが、かつてはこんなかわいらしいクルマを創っていたのだと思うと、何か感慨深さのようなものがこみあげてきます。
ちなみに、外観は同じでも、本国のフィアットが次の126にモデルチェンジした後も、独自の改良や進化を遂げた500も存在するそうです。例えばスペインのセアト。今ではフォルクスワーゲンのグループですが、かつてはフィアットのモデルをノックダウン生産していた時期もありました。セアトではこのカタチのモデルをかなり後まで作っていたので、その過程で内容のアップデートも相当されているのだそうです。
そのため、見た目は同じでも中身がまるで別物のようなクルマもあり、むしろ特有の難しい面もあるのだとか。