トップオブGT-Rを公道で走らせて分かった楽しみ方とは?【ニッサンGT-R NISMO試乗・前編】

【GT-R NISMOの楽しみ方①NISMO色全開のレーシーな内外装デザインをみて「にやり」】

このクルマの最大のポイントは、エクステリアの専用フロントとリアバンパー、リアスポイラーではないでしょうか。

「GT-Rは直線的でつまらないデザインだ」と揶揄される方もいらっしゃいますが、でもこれらは、よくある「なんちゃってエアロバンパー」などではなく、いかにダウンフォースを増やすか研究の上で「ロジカルに作り出された」もので、私は、これらの造形には「メカニカルな色気」が宿っていると感じます。

一方のインテリアは、車内のいたるところに施されているアルカンターラ貼りで今風のレーシーな雰囲気が演出されており、「豪華」というよりも、シンプルで落ち着いた印象を受けます。

そして、この赤い色を見ると、「今まさにNISMOに乗っているんだ!」と心が躍り出します。朝、自分のガレージを見て、このクルマが止まっているのを見れば、あなたの「所有欲」は間違いなく満たされ、思わず「にやり」とすることでしょう。

【GT-R NISMOの楽しみ方②「理性」と闘う】

このクルマ、アクセルペダルを踏み込む「理性」をコントロールする楽しみ方もできます。料金所通過直後や追い越し車線で、制限速度範囲内で加速をすれば、筆者が過去に乗ったどのクルマよりも速く、あっという間に高まる速度に、思わず心が躍ります。その荒々しい音質のエキゾーストの音も、「身震い」を感じるほどに刺激的です。

この「圧倒的な加速感」に慣れないドライバーであれば、恐怖で100km/hに至る前にアクセルを戻してしまうほど。そう、車速が低くても感じるこの「加速感」は、GT-R NISMOの楽しみ方の一つかもしれません。

最近のニュースでは一般道で280km/hで暴走をしたクルマ(なんとなくGT-Rに似ていたような……)が話題ですが、このドライバーは、GT-Rの本当の楽しみ方に気づけなかったのかも知れませんね。

さて前編では、強烈な印象を与えてくれた『GT-Rの公道での楽しみ方』をお伝えしました。後半も引き続き、GT-R NISMOの楽しみ方と併せて、次期型GT-Rに対するGT-Rファン代表としての想いをお伝えできればと思います。(続く)

(文:吉川賢一/写真:鈴木祐子、藤野基就)

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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