【新車】ホンダの環境対応の象徴「インサイト」がミドル級セダンになって復活

アメリカでは一足早くローンチしているホンダ・インサイト。

3代目となりミドル級セダンへとポジションを変えたインサイトですが、ハイブリッド専用モデルであるという伝統は守っています。日本では2018年内の発表・発売予定ですでにティザーサイトを展開していることはお伝えしていますが、日本仕様の実車に触れることができました。

全長4675mm、全幅1820mm、というサイズは、シビックを上回るもの。しかも、全高はシビックより低い1410mmとなっているのですから、まさにワイド&ローなシルエット。とくに後ろから眺めるとクーペ的なシルエットに感じます。一方、フロントマスクは日本仕様専用にクロームが効いたフロントグリルとなり、グラマラスな印象としています。

その内側に収まるパワートレインは、世界最高レベルの最大熱効率40.5%を誇る1.5リッターエンジンと、アコードやステップワゴンなど様々なクルマで実績ある2モーター式「スポーツハイブリッド i-MMD」を組み合わせたもの。燃費などのデータは公開されていませんが、アコードの燃費性能(30.0〜31.6km/L)を上回ると予想されます。

なお、インサイトが搭載する1.5リッターi-VTECエンジンは、その最高出力80kW、最大トルク134Nmというスペックから、クラリティPHEVと同等のユニットといえます。バッテリーの搭載量が異なるためにクラリティPHEVの135kWに対して96kWとモーター出力は劣りますが、それでも駆動モーターの最大トルクは267Nmもありますから十分にトルクフルで余裕の走りを感じさせてくれることでしょう。

また、必要に応じてモーターとエンジンの出力をミックスすることもでき、その際のシステム最高出力は113kWに達するということです。電動車両というのは、素早くシームレスな加速が可能ですから、数字以上にスムースで速い、という印象を受けると予想できます。

そのエンジンルームを眺めていると、起動などに使う12Vの鉛バッテリーが見当たりませんが、重量配分などを考慮して室内(フロントのセンターコンソール内)に置いているというのはユニーク。またユーティリティ面では、駆動用バッテリーなどを小型化することで後席のトランクスルーも可能にしています。

バッテリーを低い位置に積んでいることで重心を下げることも期待できます。フロント・ストラット、リヤ・マルチリンクのサスペンションもコーナリング性能に寄与していることでしょう。

助手席前に大胆にレイアウトされた大きなソフトパッドがエレガンスを表現、メーターやボタン式セレクターが先進メカニズムの採用を示すインテリアは上質さを前面に押し出しながら、ディテールでは使いやすさを追求したもの。ステアリングのスイッチ類が一新されているのも、新世代のハイブリッド専用車であると実感できる要素となりそうです。

(山本晋也)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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