【ゴルフ・トゥーランTDIハイライン試乗記】ガソリンモデルよりも力強い発進性、低燃費と航続距離の長さが魅力

フォルクスワーゲン・ゴルフ・トゥーランに追加された2.0L TDIエンジン搭載車。試乗したのは上級グレードの「ゴルフ・トゥーランTDIハイライン」で、車両本体価格は407万9000円。ティグアンTDI 4モーションと同じく2.0Lの「DFG」型の直列4気筒ターボを搭載し、最高出力は150ps/3500-400rpm、最大トルクは340Nm/1750-3000rpm。

トランスミッションはティグアンの湿式の7速DSGに対して、トゥーランは湿式の6速DSGになっています。なお、ゴルフ・トゥーランTDIの車両重量は1630kg。ティグアンTDI 4モーション ハイラインは、1730kgとなっています。

ガソリンモデルでも直進安定性の高さなど、日本のミニバンとはひと味違う走りを披露してくれるゴルフ・トゥーラン。2.0L TDIエンジンを積んでもその美点は不変で、ディーゼルエンジンの搭載により、ロングドライブの運転がより楽になるのが最大の魅力といえます。

なお、ガソリン仕様の1.4L TSIエンジンは150ps/5000-6000rpm、250Nm/1500-3500rpm。最高出力は1.4Lガソリンも2.0Lディーゼルも同値で、最大トルクは後者の方が90Nmも分厚くなっています。ただし、車両重量は、ガソリンモデルが1560kg、ディーゼルモデルが1630kgで、後者の方が70kg重くなっています。

ディーゼルエンジン仕様の方が最大トルクが90Nmも高くなっているため発進時のトルク感が高く、また同じエンジンを積むティグアンと比べても100kg軽い分、パーシャルからの加速など、街中から郊外路などで多用する実用域でより力強い走りが享受できます。

ただし、他社のディーゼルエンジンのようなこんこんと湧き出るようなトルク感ではなく、アクセル操作に対して過不足なくパワーを引き出せる動力性能という印象です。

フォルクスワーゲンの最新のディーゼルエンジンは、コモンレール式燃料噴射システムをはじめ、「アドブルー」インジェクター、SCR(選択触媒還元)システム、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)のほか、低圧と高圧の2つのEGR(排気再循環)システムを搭載するなど、非常にコストが掛けられた構成となっています。

ディーゼルエンジンのシステムを見るだけでも、フォルクスワーゲンでは「ディーゼルゲート」事件の反省もあり、動力性能を追求するだけでなく、燃費や排気ガスなどにも相当注力しているのがうかがえます。

なお、ゴルフ・トゥーランTDIハイラインのJC08モード燃費は19.3km/L。こうした低燃費と、60Lのタンク容量により、足(航続距離)の長さを享受できるモデルといえます。家族などで長距離移動が多いのなら、その高速走行時の抜群のスタビリティも含めて、指名買いする手は大いにありそうです。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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