アジアクロスカントリーラリーには様々なマシンが参戦しています。大別するとMOTOクラス(2輪)とAUTOクラス(4輪)。昨年からはサイドカー(3輪)も出場してとても賑やかです。今回はその中でAUTOクラス(4輪)の出場車をご紹介します。
かつて日本ではランドクルーザーやパジェロ、ハイラックスサーフなどが大流行し、せいぜいフラットな河原程度しか入らない人でも、アスファルトの上しか走らない人でも、とにかく猫も杓子も悪路走破力に長けたクロスカントリー4WDで街中が賑わった時代もありましたが、アジアクロスカントリーラリー(以下 AXCR)のコースは本当にそういう車でなければ走りきれないところばかりです。
そんなわけで以前はAXCRでもランクルやパジェロのようないわゆる「クロカン四駆」も多く見かけましたが、今はピックアップトラックの4WDが圧倒的多数です。その多くが日本メーカーのタイ生産モデルで、トヨタはハイラックスREVO。いすゞはD-MAX、三菱はトライトン。この3車種が圧倒的に多く、中でも現在はハイラックスREVOとD-MAXが主流です。
ちなみにハイラックスREVOというのは、昨年日本でも発売が開始されたハイラックスのことで、日本では未導入だった前モデルはハイラックスVigo(ヴィーゴ)とタイではサブネームを加えるのがお好きなようで、カローラもタイではカローラALTISです。
そんな2強に加え、実は第三の勢力となりそうなのが日本のエントラントが持ち込んだスズキ・ジムニーです。
東南アジアの赤土はひとたび雨が降ればもうグチャグチャ。というか、歩くとネチョネチョって感触。そんな中では大柄でハイパワーなディーゼルターボを搭載したピックアップ4WDが難航する中、小型軽量なジムニーは明らかにその強さを発揮します。深い泥沼を避けて通れる車幅と軽量なボディの走破力は別格です。
近年タタモータースが参戦したり、今年2018年は韓国のサンヨンが出場したりと賑やかさを増しているアジアクロスカントリーラリーですが、まだ2強との差は小さくありません。
一方、小さなジムニーが一矢を報いる可能性は決して小さくありません。昔から様々なカテゴリーのモータースポーツで、雨に強いドライバーとかマシンはいましたが、アジアクロスカントリーラリーにおいてジムニーは確実にそんなマシンの1台です。
小さなジムニーから、大きな4WDピックアップトラック、片や550〜1300cc程度のガソリンエンジン、片や3000cc近い排気量を持つディーゼルターボエンジン。2013年から2015年にはこのラリー初の電動車両、三菱アウトランダーPHEVも参戦しています。それぞれのマシンがその特徴を生かしながら東南アジアの悪路と格闘する姿もこのラリーの魅力かもしれません。
ジムニーは今年新型モデルが登場しました。来年は参戦を繰り返し熟成の進んだジムニーに加え、新型ジムニーの走りもぜひ見てみたいものです。
(高橋 学)