2016年の東京オートサロンで謎のカスタマイズ集団「N Lab.(エヌラボ)」が出展、その年の東京国際カスタムカーコンテストにおいてカテゴリーを超えたナンバーワンとなるグランプリを受賞した『S660 NEO CLASSIC』が、2年半を経て市販されることになりました。
後に明らかになったように「N Lab.」というのはホンダの純正アクセサリーを生み出しているホンダアクセスの社内活動としてカスタムカーを生み出したプロジェクトの名前。
当初はデザインや企画のモチベーションを高め、オートサロンの会場においてコミュニケーションをすることでアイデアを練ることなどが目的だったといいますが、ユーザー投票によるコンテストにおいてグランプリを受賞したことからもわかるように、N-ONEの丸目ヘッドライトを流用したS660ネオクラシックの評判があまりに高く、一台限りとなるはずのカスタムカーの市販化を検討することになります。
2016年のモデルは、ドアパネルもワンオフ加工されているなど、ほぼボディ全体を作り変えたといっていいほどの変更点がありましたが、翌2017年には市販化を考慮したモデル『S660 Neo Classic Prototype』へと進化。これまたオートサロン会場にて発表されました。
前年のマシンと見比べると完全に別物になっていますが、保安基準への適合など公道走行可能な仕様となること、最小限のキットにより2016年モデルの雰囲気を再現することを考慮したデザインとなっていたことから、市販化への期待を高める一台となったのです。
そして、ついにホンダアクセスは「S660 Neo Classic KIT」の発売を正式に発表しました。ボディキットの価格は129万6000円(消費税込)。株式会社ホンダユーテックのオートテラス店3店舗(「オートテラス城北(埼玉県)」「オートテラス鈴鹿東(三重県)」「オートテラス筑紫野(福岡県)」)限定で、2018年9月21日から発売となります。
軽自動車の新車が買えそうな価格の「S660 Neo Classic KIT」ですが、その内容は未塗装のFRP製外装部品と灯体等となっています。つまり、装着する車両に合わせて塗装を行ない、ノーマルのフェンダーなどを外してキットを装着する必要があり、キット価格だけでは『S660 Neo Classic』は完成しないというわけです。手間もお金もかかります。
そこで、ホンダユーテックではS660の中古車をベースにキットの装着などカスタマイズを実施、Honda認定中古車「S660 Neo Classic」として販売することになっています。また、すでにS660に乗っているユーザーが、”マイS660″を持ち込み「S660 Neo Classic」にカスタマイズすることも対応可能とアナウンスされています。いずれも上記3店舗を窓口としてホンダユーテックが架装作業を行なうというカタチになっています。
まさに東京オートサロンでのグランプリ受賞車を手に入れることができる「S660 Neo Classic KIT」ですが、このキットにはあえてホイールは含まれていません。完全に仕上げられたコンプリートカーではなく、ホイールやシートなどをユーザーが独自にカスタマイズすることで、世界に一台だけの『S660 Neo Classic』を作り上げる余地を残しているというわけです。まさにオートサロン的カルチャーを理解しているからこそのボディキットといえるのではないでしょうか。
(山本晋也)
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