新型ホンダ・NSX再考 Vol.1 鈴鹿までロングラン【GENROQ 長期レポート】

到着した鈴鹿では、今年からGT300クラスに参戦している「Modulo KENWOOD NSX GT3」のピットを訪問。さらに、Hondaモータースポーツ部長の山本雅史氏に話を聞いた。テーマはGT500に加えて、GT300でNSX GT3を走らせる意味である。

「(共通モノコックを使う)GT500ではミッドシップのアドバンスが出にくいけれど、GT3車両はリヤのトラクションのかかり方とかは良いと思いますよ。個人的にはNSXのスタイリングを世に知って欲しくて、そのためにGT3をどうしても売りたくて。ホンダのフラッグシップ、スーパーカーなので、きっちり訴求のパフォーマンスを見せるためにGT3はあります」

山本氏はこう言っていたが、実際にはNSXのこと、世間には想像以上によく知られているかもしれないというのが、実は今回の旅で得た実感である。何しろ注目されたし、何人もの人に話しかけられた。

他のスーパースポーツでは、ここまで皆、好意的ではないかもしれない……。ともあれ、存在は日本のクルマ好きに、しっかり浸透しているのだ。

ホンダは、そんなNSXをもっとイメージリーダーとして活用しなければもったいないというものだろう。数が売れるに越したことはないが、それ以上に大事な使命を持っているのがフラッグシップなのだから……。

NSX GT3の役割は、ホンダのフラッグシップとして存在感を訴求することだという山本モータースポーツ部長。市販車に近い構成のGT3マシンでは、ミッドシップのメリットがはっきり出るという。
NSX GT3を使ってスーパーGT300クラスに参戦しているModulo KENWOOD NSX GT3を駆る大津弘樹選手に、その乗り方を聞いた。「このクルマを活かそうと思ったら、止めきる。トラクションのかかりがいいというのがミッドシップのメリットとしてあるので、それを活かすために出口を早く踏むというのが大事です」。昨年まで主戦場としていたフォーミュラとの違いもすでに克服。後半戦はさらに期待できそうだ。
狭く、開口部小さく、熱くなる荷室は使いにくいが、モノを積めるのはここしかない。脱着式カップホルダーも助手席の乗員にとっては邪魔だ。GTとしての資質が期待以上だったからこそ、細部の詰めの甘さが気になる。

REPORT◎島下泰久(Yasuhisa Shimashita)
MOVIE & PHOTO◎宮門秀行(Hideyuki Miyakado)
COOPERATION/本田技研工業 TEL.0120-112010