【アルファロメオ・ステルヴィオ試乗】アルファロメオ初のSUVは、ベースモデルのジュリアより上質なドライブフィールを示す

SUVだと思って乗り始めるとその走りのポテンシャルの高さに驚かされます。いったいSUVという定義は何なのか? という大きな疑問にぶち当たるのです。

SUVとはスポーツ・ユーティリティ・ヴィークルの略ですが、少し前まではユーティリティの部分は満足のいくクルマが多かったのですが、スポーツの部分には?を感じるクルマも多く存在しました。それはたとえばレジャーで使うことを考えるがためにスポーツに振り切れないとか、オフロード性能を重視するがためにオンロードのスポーツ性に振り切れない(それはそれでオフロードスポーツと考えれば素晴らしいものですが)といった印象だったのです。

ところがステルヴィオのオンロードのスポーツ性については、SUVと呼ばれるほかのクルマと比べて一歩抜きんでた印象を受けました。

じつはジュリアにはあまりいい印象を持てませんでした。今回のステルヴィオと同じ280馬力のエンジンを積むヴェローチェにしてもコーナリングなどは気持ちよく走れるものの、全体とし荒削りさが目立ちました。ところがこれがステルヴィオになったらずいぶんといいのです。

おそらくは車高を上げたことにより、サスペンションストロークが稼げるようになったことでシャシーに余裕が生まれ、そこに太いタイヤを装着したのでがっしり感が出ているのでしょう。また、ジュリアはFRと4WDを用意しますが、ステルヴィオは4WDのみです。

ステルヴィオにもアルファロメオの走行モード切り替えスイッチが装備されていて、D(ダイナミック)、N(ノーマル)、A(オールウェザー)の3種が選べます。スポーツ走行を行うならD(ダイナミック)を選ぶのが基本でしょう。ステアリングアシスト量が減り、エンジンの吹け上がりがよくなり、ミッションのシフトポイントも高回転よりになります。

2リットル280馬力の出力を誇るエンジンは5500回転からゼブラ、6000回転からレッドゾーンとなりますが、Dモードで走れば5500回転付近までキッチリ回ってくれます。2000回転からはトルクがフラットになるので、加速の連続感はバツグンにいいものです。

ジュリアには2リットルの200馬力仕様が用意されていましたが、現在のところステルヴィオにそのエンジンが搭載される予定はないと言います。その代わり、510馬力のクアドリフォリオは予定があるとのこと。ジュリアのクアドリフォリオはシャシーがエンジン出力についていかない印象でしたが、ステルヴィオに搭載される場合は4WDとなるので印象は変わるはずです。

(文:諸星陽一・写真:平野 学)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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