6月30日~7月1日にタイのチャン・インターナショナル・サーキットで開催される「2018 AUTOBACS SUPER GT Round4 Chang SUPER GT RACE」。6月30日の予選は天候に左右される展開となっていました。
午前中に行われたフリー走行では晴れ渡る快晴。しかし、降り注ぐ陽光は突き刺すような強さで路面温度も急上昇。タイヤもハードスリックなどを用いるチームが多かったようです。
フリー走行の時間は500クラスとの混走、300クラスだけの占有と合わせて100分。そこで予選用のセッティングや予選ドライバーの順番などを決めなくてはなりません。
今年の注目マシンであるNSX GT3を使用するチームに注目していますが、そんなフリー走行でセットを煮詰めたのがModulo KENWOOD NSX GT3。フリー走行が終わり午後1時過ぎからピットウォークが始まりますが、このピットウォークの最中に突然雨がパラついてきたのです。
ピットウォークが終了すると30分後には予選が始まるというタイミングでのタイ特有のスコール。かなり激しい雨と風がサーキットを襲います。しかしそんなスコールも予選開始直前にあがってしまったのです。
約15分遅れでスタートした予選。雨は上がったものの路面コンディションはウェット。Modulo KENWOOD NSX GT3の予選Q1を担当するのはタイのレースに初参加の大津弘樹選手です。
晴れを想定した中でのセッティングが全てリセットされ、ウェットコンディションでの予選となりましたが、大津選手にとっては初めてのタイで初めてのウェットでの予選。全てが初めて尽くしの中、予選Q1前半ではなかなかタイムが上がってきません。
そこで予選中にもかかわらずピットイン。タイヤをミディアムからミディアムハードに替えて再びコースインをしていきます。
そのときの様子を大津選手は「最初のタイヤではリアに対してフロントが暖まらず思うように走れない中、路面がだいぶ乾いてきたのでタイヤをミディアムハードにして再度アタックしていきました」
この交換が功を奏してQ1を12番手で通過。マシンを道上龍選手に託します。
道上選手がドライブする頃にはレコードラインはすっかりドライ。他のチームではレインタイヤを装着するところもありましたが、Modulo KENWOOD NSX GT3はスリックタイヤを選択。これによって10番手で予選を終わります。しかし、ライバルチームにペナルティがあったようで、予選結果がなかなか発表されません。
正式な予選結果が発表になると、ライバルチームの2台がペナルティとなり計測タイムを抹消されることなってしまうことでModulo KENWOOD NSX GT3は決勝レースを8番グリッドからスタートすることとなりました。
予選後のインタビューで道上選手は決勝の作戦について問われると「マシンの状態はかなりいいレベルになってきているが、燃費だけは改善されていないので、その影響で給油に時間がかかるのでタイヤ交換は四輪交換ではなくリアのみ交換で給油時間をカバーする作戦でなければならないでしょう。タイは無交換のチームも出てくるので、ある程度アドヴァンテージを持ってからピットインするための速さも必要」と語ります。
今回のタイではCARGUY NSX GT3が不参加でNSX GT3勢では孤軍奮闘のModulo KENWOOD NSX GT3。そんな中での8番グリッドというまずまずのポジションからのスタートに、期待はますます高まっていきます。
(写真:松永和浩、高橋秀彰 文:松永和浩)