【人とくるまのテクノロジー展2018】電動パワステの開発から生まれた高温でも作動するリチウムイオンキャパシタ

とはいえ、ジェイテクトは電池屋さんではありません。ご存知のようにパワーステアリングのサプライヤーとして指折りの存在です。じつは、この高性能キャパシタが生まれたのは電動パワーステアリングの機能アップがきっかけだったといいます。

SUVムーブメントの中、大きくて重いタイヤを据え切りするニーズが生まれています。そのためには一時的にパワーステアリングのアシスト量をアップさせる必要があります。そこでジェイテクトが考えたのは12~14Vで動いている従来のパワーステアリングユニットに、6V程度の別電源をアドオンすることで、据え切り時などだけ18~20Vで動かそうというアイデアです。

しかし、パワーステアリングのために別電源を確保するというのはパッケージなどの要件から非常にむずかしい面があります。そこで「コンバーターも冷却装置も不要な高耐熱リチウムイオンキャパシタを開発すれば、コンパクトにパワーステアリングの性能アップを実現できる」と考えました。そのために生み出されたのが、今回展示された高耐熱リチウムイオンキャパシタです。

しかし、冷却装置が不要なことによりコンパクトに収めることができるメリットを電動パワーステアリングだけに使うのはもったいない話。そこで、電動パワーステアリングの性能アップに利用するのはもちろん、クルマに限らず電動シフトの進む産業機器などでも活用していきたいとジェイテクトは考えているのです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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