駐車禁止でも人が乗ってれば駐車違反にならない!? 駐車監視員が間違ったウワサの原因か?【警察・交通取締情報】

放置駐車と駐車違反は実は違うんです!

「知人や子供が助手席に乗っているから大丈夫…」。そんなふうに考えてクルマを路上駐車させていませんか?

都内に立てられた看板

「この道路は駐車禁止です。運転者が乗車中でも取り締まりを行います。牛込警察署」。東京のとある道路脇に立っている看板ですが「運転者が乗っていようといまいと、駐車禁止場所にクルマを駐めたら駐車違反」というのは、古今東西もうあたりまえの話です。

じゃなんで、わざわざこんな看板を立てる必要が? さらにとある求職サイトでは「宅急便など、運送車両の助手席に座っているだけの駐禁対策のアルバイト」が堂々と募集されているのです。配送員がクルマを離れていても助手席に人が座っていれば違反切符を切られない(?)ということのようです。

これはもう「運転者のみならず子供だろうがなんだろうが、とにかく人が乗ってさえいれば駐車違反にならない」と思い込んでいる人が急激に増えてきたということでしょう。

その原因は「放置違反金制度」にあると言えます。制度の運用にともない導入された「駐車監視員」が標章をつけるのは、無人のまま放置されているクルマだけであり、ドライバーはもちろん、助手席や後席に人が乗っているクルマはスルー。その様子を見て「なんだ、人が乗っていればOKなんだ」という都市伝説が……。しかしそれは、「とんでもない勘違い」なのです。

ちなみに道路交通法第9節、第45条に定められている「停車および駐車」に関する規定は次の通り。「車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分、及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない」。どう読んでも「人が乗ってればOK」とは書いていない、というか、この法律は「放置違反金制度」の導入以前から全く変わっていないのです。

ところが、2004年に「放置駐車違反金制度」が施行された以降、民間委託された「駐車監視員」が「運転手が不在で、直ちにクルマを移動させることができない放置駐車車両」のみを業務の対象としたのです。その結果「運転手が乗車中で直ちにクルマを移動させることができる」場合は駐車違反とはならないという間違った認識が、世間に広まってしまったというわけ。

●駐車監視員が駐車車両を取り締まる基準とは?

「駐車監視員」は実は、駐車違反を取り締まっているわけではありません。彼らは「放置車両を確認し、確認標章を取り付け、それを警察署長に報告している」だけなのです。違反切符を切るとか、検挙するなどの権限は一切持っていません。つまり「人が乗っている駐車違反車両」は元々業務の対象外、というわけ。彼らの仕事ぶりを観察させていただくと、まず車両の中を覗き込んでいるのがわかります。

つまり「人が乗っていれば駐車違反にはならない」のではなく「人が乗っていれば放置駐車違反にはならない」というだけのことです。駐車禁止場所にクルマを駐めていれば、状況はどうあれ、従来通りに「駐車違反」であることに変わりはありません。取り締まりの権限を持つ警察官に見つかれば、その場で切符を切られても文句は言えないのです!

ドライブの際には皆様どうぞご注意を。

(文と写真:HOODRIDEZ)

※この記事は2021年9月24日に再編集しました。

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