親会社のライバルと手を組む狙いとは?トヨタ自動車傘下の「日野」がVWとの提携を発表

独VWが4月12日、これまでのミュラー会長に代わり、2015年7月にBMWから移籍し、現在乗用車ブランドのトップを務めるヘルベルト・ディース氏を新会長に指名したと発表。同社は今後、ディース新会長のもとで「EVシフト」の強化を目指すようです。

そうしたなか、日野自動車が同日、トラックやバスなどの商用車分野でVWと提携する意向を発表しました。

両社は昨年6月頃から提携交渉をスタートさせており、「電動化」や「自動運転」といった次世代技術など、幅広い分野で包括的に連携、両社の競争力強化に繋げる考えのようです。

ちなみに今回、日野が発表した相手はVWグループの商用車持ち株会社「VWトラック&バス」。

日野の親会社であるトヨタ自動車とVWが、乗用車を中心に世界首位を競うライバル同士だけに、提携後の関係がどうなるのかが懸念されますが、新聞報道によると日野とトヨタの関係は今後も一切変わらない模様で、むしろトヨタからは「是非進めて下さい」とのコメントをもらっているとか。

商用車は車体が重く、使用期間が長いなどの特徴から、トヨタが持つ乗用車の延長線上の技術だけでは商用車特有の課題解決が難しく、グループの枠組みを超えた連携が必要と判断した模様です。

日野の下義生社長は技術、商品、地域の観点で幅広い協業の可能性を模索しているようで、例えば商用車の「自動運転」が実用化すれば、運送業界の人手不足の解消や、過疎地のバス路線廃止を回避できる可能性を秘めていると言います。

今回の両社の提携話の背後には中国メーカーの台頭に加え、商用車の電動化でダイムラーの子会社である三菱ふそうが、昨年から小型EVトラックの量産を始めるなど、一歩先を行く存在の影響があるようです。

乗用車で世界大手の親会社を持ちながら、現状では生き残れないとする危機感が両社の背中を押す形となったようで、今後提携に向け、トップや役員で構成するアライアンス委員会を立ち上げ、詳細を詰めるそうです。

Avanti Yasunori・画像:HINO)

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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