【フォルクスワーゲン・パサートTDI試乗】ディーゼルゲート問題を克服して登場した新世代ディーゼル

ディーゼル不正問題で導入が遅れていたフォルクスワーゲンのクリーンディーゼル搭載モデルの第一弾となるパサートTDIが、ようやく日本に入ってきました。

パサートはフォルクスワーゲンのラインアップの中でもっとも上位に位置するフラッグシップセダン&ワゴンです。日本仕様としては、今回のクリーンディーゼルエンジンのほかに、2リットルガソリン、1.4リットルガソリン、1.4リットルガソリン+モーターのプラグインハイブリッドの3種のパワーユニットが用意されています。

 

新しく追加されたクリーンディーゼルエンジンは2リットルの4気筒で、最高出力は190馬力、最大トルクは400Nmのスペックを持ちます。組み合わされるミッションは6速のDSG(ツインクラッチ式AT)となります。ボディタイプはセダンとワゴンの両タイプが用意されています。パッケージング面、装備面ではガソリンエンジン車、PHEVとの差はほとんどありません。

 

エンジンを始動するとそれなりにディーゼルらしいノイズ、振動が伝わってきます。これはちょっと残念なところです。現代的なモデルを目指すのであれば、この部分はしっかりと対策しておくべきだといえます。

走り出すとエンジンはよく回って軽々としています。トルクが強まるのは2000回転を超えたあたりで、ディーゼルならもう少し下から盛り上がるようなトルク感が欲しいと思ってしまいました。そして2000回転あたりまではちょっとノイズ、振動ともに多いのです。100km/hの定常走行ではトップギヤの6速でエンジン回転数は1600回転とかなり低くなりますが、やはりノイズと振動の問題は解決されません。

 

ギヤダウンしてエンジンを2500回転くらい回ってしまえばノイズや振動もかなり気にならなくなります。6速で2500回転だと150km/hを超えますがドイツのアウトバーンならばどうってことのない速度です。このディーゼルエンジンは日本の使われ方ではちょっとマッチングが悪いのかも知れません。

ただ、ディーゼルらしい力強い加速感やトルク変動の少ないエンジン特性は、長距離移動にはバツグンのマッチングを示すでしょう。頻繁に長距離移動を繰り返すような方なら、使い勝手がいいクルマと感じると思われます。

(文:諸星陽一/写真:小林和久)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
続きを見る
閉じる