【クリッカーオブザイヤー2017】10年に1度の傑作Bセグメント!? 216万円〜という価格設定も◎な「シトロエン・C3」

ホンダN-BOXが200万円を超える時代、216万円〜239万円という値付けの新型シトロエン・C3に数日間乗ったら本当に驚かされました。

2018年の年明けにソニー損害保険が発表した「新成人が欲しいクルマ」では、総合1位(男性1位も)がトヨタ・アクア、女性1位は日産キューブだったそうです。アクアは燃費がよく、キューブはインテリアがキュート。確かに身近な存在で納得できます。

でも、ちょっと無難過ぎない? というのはおじさんの余計なお節介だと承知しつつも、とくにキューブが欲しいという若い女性にも、もし近くにシトロエン販売店があったらC3を試乗して欲しいです。

C3のインテリアは、とくに高い素材を使っていないように見えますが、デザイン(カラー含む)と素材に組み合わせの妙で、安っぽさとは無縁で、しかもちょっとした高級感さえ抱かせます。フランス車に乗っているという満足感は得られるはず。

「エアバンプ」と呼ばれるキズ防止の強化ポリウレタンの加飾が目を惹く外観も、少しSUVチックで厚みのあるフロントマスクなど、デザインの好き嫌いは別にしてクオリティも高く、存在感があります。

運転してみると、路面によっては硬さを感じさせるシーンもありますが、現状のBセグメントの中では個人的には一番イイ!! と思わせてくれる乗り味で、上位のCセグメントと比べてもトップクラスといえる乗り心地。かつてハイドロに乗っていたお父さんも娘専用にしておくには惜しい、と思わせるのではないでしょうか。

新成人の女性だけでなく、男性にもこの走りは魅力に映るはず。上質な乗り味だけでなく、ハンドリングも予想以上に素晴らしく、ライントレースのしやすさは、運転が上手くなったような気がするほどです。

狭隘な山岳路を走らせても退屈とは無縁ですし、疲れにくいのも美点。フロントシートの着座感も秀逸で、シート地やクッションにお金を掛けているのが伝わってきます。そして運転席では、チルト&テレスコピックの可動域が大きく、最適なポジションが得られるのも感心させられました。

1.2L 直列3気筒ターボエンジンは、3気筒特有の音・振動も抑制されていて、110ps/205Nmというスペック以上に活発な走りが可能。6AT化されたトランスミッションも扱いにくさはありません。

ほかにも、若い人には純正のドライブレコーダー(シトロエン・コネクテッドカム)を使って走行風景を手持ちのスマホ経由でSNSなどに投稿できるといった遊び心もウケそう。

欧州Bセグメントでは、総合力の高さでは長年フォルクスワーゲン・ポロがトップに君臨してきたと言っていいでしょう。こちらは間もなく大きくなった新型が登場するモデル末期であることを前提としつつ、日本車も含めて、いまコンパクトカーを買うのであれば新型シトロエンC3を試してから選択することをオススメします。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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