それでも、ハスラーの成功がXBEE(クロスビー)の誕生を後押し、少なくても影響したのは間違いなさそうで、新ジャンルの小型クロスオーバーワゴンを名乗っています。しかし、ボディフォルムやディテールなどはハスラーと異なったデザインが与えられていて、単にハスラーを拡幅したデザインではないそう。さらに、登録車にふさわしい内外装の質感が確保されています。
軽自動車だけでなく、コンパクトカー(登録車)にも注力しているスズキ。プラットフォームは、ワゴンRなどの軽自動車からイグニス、ソリオなどにも使われている「HEARTECT(ハーテクト)」が採用されています。
クロスビーのサイズは、全長3760×全幅1670×全高1705mm、ホイールベースは2435mm、最低地上高は180mm。
これは、イグニス(全長3700×全幅1660×全高1595mm)のホイールベースの2435mmと同値で、イグニスよりも全長が60mm長く、全幅は10mmワイド、全高は110mmも高くなっています。また、ソリオは全長3710×全幅1625×全高1745mm、ホイールベースは2480mm。
イグニスと比べると、前後乗員間距離が155mm広がり、前席ヒップポイント地上高は60mm、後席ヒップポイント地上高は50mm高くなっています。
イグニスに対するクロスビーの居住性向上は、もちろんパッケージングの進化もあるでしょうが、基本的にはボディの天地方向を延ばし、アップライトに座らせるハイトワゴン系の手法によるもの。フィアット500とパンダが同じプラットフォームを使いつつ、アップライトなポジションにすることで、後席のフットスペースなどを稼ぎ出しています。
イグニス、ソリオなど似たサイズのコンパクトモデルを投入しているスズキ。ソリオを「日常+ファミリー(多人数)」寄り、新型クロスビーは「ファミリー(多人数)+趣味、オフロード」寄り、イグニスを「パーソナル・カップル」とすることで、いわゆる共食いを避ける狙いがあるそう。
実際には、そうそうオフロードを走ったり、アウトドアに出かけたりしなくても、日常ユースから幅広いシーンで使えると思わせる(可能性を感じさせる)クロスオーバーモデルは世界的なブームになっています。
かつてのワゴンRプラス、ワゴンRワイドのように、販売面で思ったほどは振るわないという轍を踏まないこだわりのスタイリングや内・外装の質感向上が盛り込まれています。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)
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