では、走りはどうでしょうか。今回試乗したのは「318i Sport」という、セダンでは下から3番目、比較的ベーシックに近い仕様。「B38B15A」型の1.5L直列3気筒エンジンは、1シリーズやX1などでもお馴染みで、136ps/4400rpm、220Nm/1250-4300rpmというスペックは1シリーズ、X1などと同一。
同エンジンを搭載した118iに乗って、東京と新潟間を往復したこともあり、その滑らかな加速フィール、必要十分といえるトルク感などは確認ずみでした。1シリーズよりもひと回り大きな3シリーズでも同様のフィーリングが得られるかが気になるところです。
多様な登り勾配、下り勾配が続く箱根の山で走らせると、ZF製8ATのスムーズさもあって、加速フィールは直列3気筒とは思えないほど滑らか。アイドリング時や低速域のエンジン音や振動は大きめで(もちろん、アイドリングストップ時をのぞく)、遮音や吸音も含めた音・振動対策にはある程度割り切りも感じさせますし、個体差だけかもしれませんが、フロアからの微振動も少し気になるシーンも散見されました。
走らせていてとにかく軽やかで、手に余るほどのトルク感やパワーはありませんから、逆にクルマを支配下に置けるような安心感があります。
回していくと中間加速から上の領域で息切れも感じさせますし、高速域のパンチ力という意味では、高速道路を使ったロングドライブで実感するかもしれません。そうしたニーズが高い場合はディーゼルや4気筒以上のガソリンエンジンを選択する手もありそう。しかし、街中中心でそう長距離は走らせない、というのであればBMWらしい「駆け抜ける喜び」は十分に味わえるはずです。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)